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百式の金ピカボデーについて考える。


アナハイム・エレクトロニクス社で開発され、クワトロ・バジーナ大尉ことシャアがグリプス戦役時に愛機としたMSN−00100「百式」の外見上の大きな特徴として、金色に塗られた独特の機体色があげられますが、あのド派手な塗色について、私なりに少々考えてみたいと思います。

まず、小説版「Z」第二部p.31の記述

 その機体を成型する超強化プラスチックが、金そのものの輝きをしているのである。
本当の金の輝きは、どちらかと言うと渋く柔らかいのであるが、それよりは華やかなのだ。

更に、HGUC1/144百式のインストによれば、

全身が金色にコーティングされているが、これは耐ビーム機能を持つ合成樹脂のエマルジョンの一種で、一般には敬遠されていたカラーであったものを、設計思想に対する搭乗者(クワトロ大尉)の理解によってそのまま採用されたものである。性能的には他の塗料と大差ないらしいが、前線での視認性は抜群であったという。

とあります。

 機体を成型する超強化プラスチック? ガンダリウム製じゃないの??
という疑問が生じてしまいますが、コレはあくまでも機体表面のコーティング(塗装)に付いての言及と考えた方がよろしいでしょう。 しかし、“金そのものの輝き”というからには、いわゆるメタリック塗装ではなく、メッキに近い金属コーティングであろうという事が想像できますが、「合成樹脂のエマルジョンの一種」というからには合成樹脂塗料ということになります(^^;)

 では、まず合成樹脂塗料とメッキ(金属コーティング)の違いについて説明いたしますと、一般に「ペンキ」等と呼ばれる合成樹脂塗料というのは、顔料(着色粒子)を樹脂(プラスチック)に混ぜた物を溶剤(シンナー)で溶かしたモノであり、刷毛やスプレーによって塗布した後に溶剤分が蒸発して、乾燥した被膜を形成するモノで、簡単に言えば着色したプラスチックの膜で金属などの被塗物を覆って腐食等から保護しているワケで、その他、有機溶剤を使わない水溶性塗料や、溶剤を使わずに粉状樹脂を熱によって融解させ静電気を利用して塗布する粉体静電塗装、樹脂溶液漕に被塗物を浸す俗にドブ付け呼ばれる、デッピング等のコーティング方法がありますが、プラカラーなどもそうですが通常の塗装というもは全て、いわゆるプラスチックコーティングの一種です。 

 メタリック塗料の場合は、顔料の代わりにアルミ片などの金属粒子を使い金属感を出したモノですが、一般的なメタリック塗装の場合、プラモデルの百式等にメタリックやパール塗装を施した方ならば経験が有ると思いますが、あくまでも0.数ミリくらいの金属片が混入しているだけなので、「メタリックの目」と呼ばれる金属の粒子が消えることが有りません。 キラリと光るメタリック感を出すためには、最低でも数ミリ単位の面積が必要であり、金属粒子をミクロン単位まで細かくしてしまうと、光を乱反射して白っぽく見えるか、影が出来て灰色にしか見えないのです。
 これに対してメッキ等の金属コーティングの場合は、(厳密に言えばプラスチックへのコーティングは、いわゆるメッキとは異なる技術なのですが、ココでは詳しくは触れません)、金属を電解させることにより金属イオンにして、被塗物上で金属の被膜を再構成させるもので、金属が結晶として結合しているため「粒子の目」は存在せず平滑な鏡面のような状態の膜になります。
(ちなみに、コレには当然、専門の機材が必要になるため、HGUC百式等のメッキモデルの継ぎ目を消すというのは一般家庭ではまず不可能です。)

 というワケで、例の金ピカ塗装はメッキのような処理では無かろうか?と考えていたのですが、HGUCの解説書に「合成樹脂のエマルジョンの一種」と明言されてますから、前者の「合成樹脂塗料」という事になるんですが、 色というのは、元素なり分子が太陽光のどの波長を反射するかによって決まるため、それぞれの分子特有のもので(スペクトル分析で構成元素が解析出来るのはコレを利用しているからなんですが)金属的な色調(メタル感)は金属分子特有のモノであり、分子構造が全く異なる高分子物質である樹脂(プラスチック)で金属色を発するのは、常識的に考えると不可能なのです。

そこで、この「エマルジョン」というモノに着目して見ましょう。 
エマルジョン(emulsion)というのは元来、「乳剤」、「乳濁液」の事でして、

エマルジョン塗料とは、
 水中散形樹脂塗料や合成ラテックス塗料と呼ばれるタイプの塗料であり。
水中に不溶な樹脂や乾性油、ワニスを分散させた懸濁液をビヒクル(展色剤)とする塗料や乳化重合によって製造したポリマーである。

 などと書くとかえって何の事だか分からなくなりますので、簡単に説明しますと、要するに牛乳の様に本来であれば分離するはずの水(乳清)と油(脂肪分)が混ざり合った状態を指すワケです。

ただ、百式に使われている塗料は現在のエマルジョン塗料の概念からすると少し違うモノの様に思われますが、あくまでも「一種」という事のようですから、件の超強化プラスチックコーティングの場合、強化プラスチック(合成樹脂)中に、前述したメタリックの様に単に金属片が混入している状態ではなく、本来は結合しない筈の(半導体である)樹脂を介して金属結合している擬似金属結晶体であるためにメッキのような質感の表面になっているのでは無いかと推測されます。

尚、このコーティングの耐ビーム機能に関しては、後のV2アサルトバスターの金色部分やクロスボーンに登場した対ビームマント?に繋がる技術であると思われますので、後日、更に考察を進めてみたいと思います。


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