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”赤い狐”序章

「ヲイ,お前。なんて名前だ?」
「あのー”虎の威を借る狐の皮を被ったゲルググ”っていいます。」
「そのまま読んだだけじゃねーか。あれ,なんで狼をゲルググとか読むんだ?」
「ゲルググはジオンの最新型モビルスーツで・・・」
「んなこたぁ,わかってんだよ!なんで狼なんだよ?」
「そっそれは,真の実力は狼だけれども,いつもは狐の皮を被って隠していて,
 で,でも一般ピープルになめられたくはないから,虎の威光を借りてて・・」
「イソップの寓話じゃねーんだよ。で,なんで狼はゲルググなんだよ?」
「なんかゲルググって狼のイメージがあってですね。」
「ほんとにそうかぁ?」
「ほんとですよぉ・・」
(なにやら,虎威借狐皮被狼のネーミングにはまだ秘密がありそうだが今日のところはここまで)


”赤い狐”第1話

ユダヤの王スレイマーンの名に相応しく六芒星をあしらった要塞内の一室。
「ドズル閣下が戦死されただとっ!!馬鹿な!!」
「いや,ビグザムからは脱出されたらしい。」
情報が交錯する中,一人の男がMSの発進準備を急がせていた。
「いずれにせよ,艦隊の脱出を援護せねばならん。ガトーにも手伝わせる。伝えろ。」
「はっ,はい。大佐のMS,準備出来ました。」
「この部屋に戻ることも,もうあるまい。お前はどうする。連邦軍に下るか?」
「冗談じゃないわ!ここまで来て。絶対あなたの謎を解き明かしてみせるわ。」

男のMSは奇妙な頭部になっていた。光学センサーが縦に2列並んでついているのだ。
塗装は真っ赤,盾に描かれた「葉っぱを頭に載せた狐」のパーソナルマーク。
「MS−06Tなんて初めて見たわ。」
幸いにして複座仕様のままであり,男に続いて乗り込み,座席につく。
連邦のGMは”赤い機体”に最初は脅えた様子であったが,やがてそれが練習機に
過ぎないと判ると,強気になって攻めてくる。
男はMSの進路を変え,ザンジバル級機動巡洋艦の前に移動する。
釣り出された格好のGMは”カリマンタン”の砲火の餌食と消える。
「レイラか。助かる。」
「貸しだからね,大佐。」
「借りついでに,白虎隊を借りていいか?」
「大佐に貸しが出来るなら最高よ。・・・・・MS隊発進,急がせて!!」
白い虎を部隊マークに揃えたリック・ドムを従え,赤い狐は悠々と連邦のGMを蹴散ら
して進む。
「虎の威を借る狐ってこのことなのね。」       <注 ホントの意味は違うよ。
「何か言ったか?」
「いえ,何も。でも,どうして”狼”は”ゲルググ”なの?」
「それを知るためには,地球に行かなければな。」
「地球ですって!!」
「マクベ大佐の鉱山に行けばあるいは・・・。」
「なんて事,今日もはぐらかすつもりなのね。こんなに長い書込をして置いて・・・」
確かに30行はちょっとやりすぎかなと,ちょっと反省。(猿でもできる:死語)


”赤い狐”第2話

もう少し高度を下げれば,コロニーによる大きな傷跡が確認できるはずであろう。
しかし,この軌道からは,地球は開戦前の美しさを保っているように見えた。
陳腐とわかっていても,つい口にでてしまう。
「地球は青かった。」
「なに,寝惚けたこと云ってんのよ。敵が来たのよ。」
地球に向かった彼らを待ち受けていたのは,連邦軍の地球防衛艦隊であった。
「大気圏突入のタイミングで戦闘を仕掛ける。これは古今に例のないことである。」
「だぁー,シャア少佐がやってから,みんな知ってるわよ。」
GMの群が”赤い狐”とシャトル,そしてその母艦を襲う。複座の利を生かした2丁ライフルも
多勢に無勢の状況は変えられない。
やがて,制限時間が訪れ”MS−06T”はシャトルに収容される。

「たっ大佐。助けて下さい。大佐ぁーー!!」
「すっすまぬ,クラウス。パプアには大気圏を突破する力はない。しかし,無駄死にではないぞ。」
「そうかしら?」
確かに生き残りのGMはコアブースターに曳航され,高軌道へと回収されていく。
「でも,取りあえずは助かったのね。」

−−−−−−−大気圏突入中につき通信は不能−−−−−−−−−−

「はめられたわ。」
そう,突入の最中の戦闘により,シャトルは目的地の中央アジアを大きくそらされていた。

「田舎に帰るから,今日は2回分って云っておいて,結局ちっとも謎は解けてないじゃない。」


”赤い狐”第3話

輸送艦パプアはルナ2付近で2ヶ月前に一旦沈んだものを引き上げて,補修
したという,とんでもない代物だった。
赤十字,赤い三日月,ダビデの星,赤い菱形さらにはヘルメスの杖と,考え
られるあらゆる医療シンボルを貼り付けて病院船に偽装する。
”アイス・リバー”と名付けられたその船は,連邦軍のパトロールの眼を巧
みにかわして,地球に近づいていた。
さすがにシャトルを地球に降ろす段階になって,連邦軍も気づき,防衛艦隊
が迎撃に動きだす。
アイス・リバーの全乗員をシャトルに移乗させ,MS−06Tは出撃する。
操縦系プログラムを改良し,左右の腕に装備したザクマシンガンをそれぞれ
別の目標に指向させ,射撃出来るように改造がなされていた。
複座型の強みといえるであろう。
もちろん,”クラウス”という名前の優れた人工知能が船に搭載されていな
ければ,出来なかった相談である。
クラウスは船を巧みに操り,シャトルに向かう攻撃隊を巧みに誘導し,引き
付けられたGMを”赤い狐”が撃破する。
このコンビネーションは最高の効果を発揮した。しかし所詮は輸送艦である。
力つきたアイス・リバーは軌道を維持できず,地球に落ち始める。
しかし,後の時代に「まったく反撃できない病院船を攻撃するGMの編隊」
の映像が,反連邦の意識をかき立てる材料となるのである。その意味では
人工知能クラウスの死は無駄ではなかったのである。

「今回は前回の裏話ね。でも結局,謎には全然迫れないのね。」
「根が真面目なものでな,きちんと筋の通った話を作ってしまうのさ。
 かなり,長い話(全10話くらいの予定)に,なりそうだ。」
「なんだか,先は長そう。」
「いやなら,いつでも止めるぞ。」
「とんでもない!!」


”赤い狐”第4話

連邦軍マドラス司令部に緊張が走った。
「ジオンの”赤い狐”が降りたらしい。」
「何者です?」
「宇宙攻撃軍”突撃降下隊”の元司令だ。」
「突撃降下隊?聞いたことありませんが。」
「キシリアの地球攻撃軍とは別に,軌道上からMSで南米に直接降下,ジャブロー攻略を
目的として組織された部隊らしい。ただ,旗艦司令部のあったグワジン級戦艦が再突入に
失敗して,司令部要員ほとんどが戦死,解散されたという情報だ。」
「で,その”赤い狐”というのは,どんな奴なんです?」
「ペテン師だよ!ルウム戦役で2個艦隊が,奴の教習生一個中隊のおかげで,あちこちに
引っ張り回されたあげく,推進剤不足で立ち往生させられたんだ。」
司令部内の緊張が緩み,クスクスと笑い声が聞こえる。
「笑い事じゃないぞ!その2個艦隊は補給部隊と合流したところを,ドズルの本隊に急襲
されて殲滅されたんだ。」
「なるほど,油断ならない敵というわけですね。でも今更何故,地球に?」
「情報部が解析中ですが・・判りました。中央アジアのカブールを目指したようですが,
大気圏再突入に失敗して,今はインド洋上だそうです。ドン・エスカルゴ哨戒機が接触,
現在空軍の攻撃隊が接近中です。」
「不時着水したシャトルだぞ。なぜ,艦艇を収容に向かわせんのだ?」
「それが・・・」

「なによこれ!!謎に迫るどころか,”虎威借狐皮被狼”は登場すらしないじゃない。」
「先は長いからな。あ,突撃降下隊は”突降隊(とっこうたい)”と略すのが通だぞ。」


”赤い狐”第5話

あたり一面が機雷の海だった。
沈みかけたシャトルから脱出したクルーはゴムボートで漂流している。
そして,”MS−06T”は頭部を海面に出して浮かんでいた。
「ザクが水に浮くなんて,インチキだわ。」
「水密さえしっかりしてれば,たいていのMSは浮くさ。ちっ,また来たか!!」
男は複眼の微妙な視差を利用した簡易対空射撃管制装置でザクマシンガンの狙いをつける。
射撃回路に組み込まれたプログラムがザクの指の動きを制御し,キッチリ3発のバースト
射撃でフライマンタを編隊ごと撃墜する。
「なんで,対空砲弾なんか持ってるわけ。」
「連邦のMSの装甲は凄い。同じ所に何発も撃ち込むなんて芸当はよほどのベテランじゃ
なきゃ無理だ。ところが上半身を狙って散弾を撃てば,どれかは顔に当たってくれる。
光学センサーさえ潰せば,連邦の新米パイロットはすぐ逃げ出して,俺の教え子達の命は
助かる,という算段さ。なに,首のないMSなぞ,歴戦のエースがすぐ片づけてくれる。」
「へぇー,でも作中には,そんな描写は無かったわよ。」
「”俺設定”だからいいんだよ。来たぞ,お迎えだ。」

「御存知の方もいるかと思いますが,中に水が入らないようにしてあればザク(に限らず
たいていのMSは)は,水に浮きます。ウソだと思う人は自分の身長を十倍,体重を千倍
にしてザクと比べてみましょう。」
「科学解説もいいけど,ホントに謎を解き明かす気,あるんでしょうね?」


”赤い狐”第6話

いきなり,”ズゴック”が浮上する。
辺りを警戒しつつ,邪魔な機雷を排除するとユーコン型潜水艦が浮上してきた。
「大佐,U−99へようこそ。」
「待ちくたびれたよ,クレッチマー少佐。”赤い狐”が”赤錆”になるところだ。」
「でもその間に,随分スコアを稼がれたようで。」
「今更,蚊トンボを落としても始まらんさ。ところでカーブルへ行きたい。カラチまでは
どのくらいかかる?」
「大佐。大変申し訳ないのですが,当艦は補給が受けられず・・・」
「ただとは云わんよ。ミデア2機分の物資を提供する。少しの間,ズゴックを借りるがね。」
「そういう話なら歓迎します。・・・潜行準備,ズゴックの収容を急がせろ。大佐のザク
の補給も忘れるな。」

「なんだか,話はどんどん”近藤ワールド”になっていってますが,
この小話は”たかが一個人のHNの謎を解明する”というだけのお遊びです。
したがって,云うまでも無いかも知れませんが登場する組織,個人,各種兵器類及び事件
は架空のもので,オフィシャルな設定に合致しているとは限りません。
それを理解した上で個人的に使用して楽しむのは虎威借狐皮被狼もかまいません。
逆に,”白虎隊””突撃降下隊””赤い狐”等の設定を既に使われている方が,もしも
居られましたら・・・。すみません。存じ上げませんでした。」

「やっと,パキスタン・・・,マ・クベ鉱山へは長い道のりだわ。」


”赤い狐”外伝1

ジオン軍におけるMS運用技術の開発がキシリアの教導機動大隊で行われたことは周知の
事実である。そしてこの教導機動大隊が後の突撃機動軍へと発展していくわけである。
しかし,宇宙艦艇を中心として軍備を固めつつあった,ドズルの宇宙攻撃軍においても,
MSの運用研究は行われていた。
”赤い狐”はその中でも,戦技研究の中心人物であったらしい。そして
「MSすなわち機動戦力の最大の利点は,敵の防衛線の最も弱いところを突破し,後方の
司令部,通信・補給施設,後続部隊といった脆弱な部分を破壊できることにある。ミノフ
スキー粒子の利点はMSがこうした迂回行動を行っているのを敵に探知出来なくする点に
ある。」というのを持論としていた。
結果,ブリティッシュ作戦時にコロニーの護衛をMSにさせるという計画に異議を唱え,
閑職であるMSパイロット養成学校の教官として配属された。
しかし,ルウム戦役においては「1機でも多くのMSを」準備するために,教習中の訓練
パイロットと共に参戦することとなる。
だが,教習中パイロットということで核弾頭バズーカの使用が許可されず,通常弾頭のみ
で戦闘しなければならなかった。
彼は自分の教習生1個中隊をMS3機ずつの4個小隊に分け,それぞれを岩塊等の浮遊物
に潜ませ,連邦の艦艇をおびき出しては隠れ,また次の小隊がおびき出しては隠れ,これ
の繰り返しでついには2個艦隊の推進剤を消耗しつくさせた。
中隊の損失は,運悪くミサイルの流れ弾にあたり肩と背部を損傷したザク1機を失ったが,
パイロットは軽傷ですんだらしい。
ルウム戦役での戦功(いわばドズルに華を持たせた形になった)により,かねてから提案
してあった”突撃降下隊”が設立され,その責任者となる。
されど好事魔多し,旗艦司令部となるはずであったグワジン級戦艦が沈み,計画は白紙に
戻されることになる。
結局,彼はMSパイロット養成学校の,今度は校長としてパイロットの育成に携わること
になる。彼の教育は一風変わっており,教官として派遣されてきたパイロットのチームと
訓練生のチームでシミュレーターによる集団戦を行わせ,自分は観戦し目を付けた訓練生
をとことんまで鍛え上げた。それがニュータイプ発掘のためであったのかは不明である。
最後に,彼のモビルスーツは教官時代から一貫して,MS−06Tをチューンしたものを
使用しており,色は赤,”葉っぱを頭に載せた狐”がパーソナルマークである。
ソロモン戦役後,地球に降り,インド洋からカーブルへ向かっているが,理由はまだ不明
である。

「ホラ話もここまで来ると,信用する人がホントに出ちゃうわよ。」
「だから”第6話”で断り書きを入れたんだよ。」


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