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赤い狐(ソロモン王国編)第9話 投稿日 : 99年12月26日

「さて,誰も居なくなったようだな。」
コントロール13番艦の作戦司令室を占拠していたのは,ブラックバーン中佐率いる特務部隊であった。
5式高機動兵器が艦隊を掃討している隙に,宇宙用CUIで秘かに接近した突撃隊が,艦に乗り込み,
これを奪取したのである。
降伏した乗員を部屋に押し込め,宙に浮く死体を片づけると,専門家が操作パネルにとりついた。シス
テムの光軸調整を再開したのである。太陽電池パネルの能力が低下しており,作業は難航したが,これ
に関し事前訓練を受けていた隊員達は作業を成し遂げた。

「そろそろ,シルムとミラーの軌道がずれる。始まるぞ。」

ラグランジュ第5ポイントに,再び,太陽が輝き始めた。

ところで,要塞を包囲していた連邦軍艦隊の連携は著しく悪かった。
まず,予想される敵戦力の4倍近い戦力を擁しているという事から,圧勝できるという自信があった。
それが驕慢へと繋がり,どうせ勝てるのなら自艦隊の損害だけは,可能な限り少なくしようとの思いが
起こり,攻撃開始を手控え,システムの照射を待つという愚挙に出たのである。
先の大戦では,第3艦隊の突撃艇が自殺に等しい攻撃で要塞主砲を無力化し,さらに艦隊を突入させて
第2連合艦隊がシステムを展開する時間を稼ぎ,辛くも勝利を得たのであったが,その戦訓は忘れ去ら
れていた。そして,これだけに膨れ上がった大艦隊を,統括指揮する力量を持った司令官が居なかった
事も原因の一つであった。要塞を包囲するとは名ばかりに,バラバラに布陣した各艦隊は,システムの
照射により,要塞がダメージを受けた後で,いかに少ない損害で,目立った戦果を得られるかばかりを
考えていたのである。

予定より遅れてシステムの照射が始まった。
しかし,標的となったのは,もちろん要塞では無かった。連邦軍の艦艇が戦隊単位で消滅していく。

「どうなっているんだ?大至急焦点を変更するように連絡しろ!!」
驚いた艦隊司令部は,システム母艦とその護衛艦隊に連絡を送ったが,もちろん照射が止まる筈も無い。
それどころか,最初に照射を受けた艦隊が壊滅した後,焦点は別の位置にいた艦隊へと移り,その艦隊
も消滅した。ここで,ようやくシステムが敵の手に落ちたらしい事に気付く。面白い事に対応は見事に
二通りに分かれた。第7艦隊はシステムを破壊するため,行動を開始した。そして,別の艦隊は照射を
免れるために逃げ始めた。そして,後者を選んだ者の方が多かったのは,連邦軍にとって不幸だった。
システムは多い方に照準を合わせた。そのため,システムを破壊すべく吶喊した艦隊は照射を免れた。
そして,彼らがコントロール艦を破壊し,照射を止めた時,逃げ出した艦隊の2/3は壊滅していた。

残存艦艇数,戦艦24隻,巡洋艦76隻,MS800機程度である。さらに戦艦22隻,巡洋艦62隻
が生き延びていたが,それはただ単に,沈んでいないだけであり,戦力として期待できるような物では
無かった。それは,パイロットが視力を失って漂流中のMS400機も同じだった。
艦艇数とMSの数だけは,まだ敵を上回っていた。しかし,既に士気は喪失しており,戦いを仕掛ける
気力ももはや残っていなかった。
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「なんか,思った通りだけど,結局は敵の武器を奪って使うという,安直な話になるのね。」
「敵の戦力を奪って使うというのは,孫子にもあるように,最良の戦略だよ。このために多くの部下を
敵陣営にもぐり込ませている訳だ。『赤い狐』だけが連邦軍籍をとった訳じゃないんだから。」
「それにしても,宇宙用CUIって何?」
「宇宙用の歩兵輸送装置(Carrier Unit of Infantry)という兵器さ。ただ,
この英語が正しいかどうかは?なので,他で使うと恥をかくかもね。」
「に,してもCUIが活躍する話なんて,デザートバロック以来のような気がするわ。」


赤い狐(ソロモン王国編)第10話 投稿日 : 100年1月1日

連邦艦隊の一部が突撃してくるのを確認したブラックバーン中佐は,逃亡する連邦艦隊に照準を合わせ,
自動操縦に切り替えると,直ちに撤収を開始した。逃げるに際して,ミラーの1枚を失敬して,これを
敵艦隊に斜めにかざし,姿を消しているのはもちろんである。
「ちょっと,勿体ないなぁ。」
突撃隊員の誰かが呟く。
「なーに,また拾いに来ればいいさ。連邦軍を蹴散らした後でな。」
ジャバラ大尉が明るく答える。
「そりゃそうだ。」
無人の第13号コントロール艦が連邦軍の攻撃で爆沈し,ミラー群は制御を失い,焦点照射を止める。
だが,逃亡した艦隊は既に壊滅状態に近かったのである。

連邦軍のフェルケルザム中将は,危機に瀕した麾下の艦隊を,なんとかまとめ上げようと全力を尽くし
ていた。逃亡を命じた艦隊司令は,システム照射により味方艦隊が消滅していくのを見て,精神に異常
を来たし,指揮能力を喪失したため,彼が全軍の指揮を引き継いだのである。

「システムの照射が止まったか。第7艦隊がうまくやったようだな。まだ,艦艇数ではこっちが上だ。
艦隊の集結を急がせろ。要塞から敵のMSが出てくるぞ。被害の大きい艦は直ちに放棄しろ。MS隊の
発進を急ぐのだ。」

集結しつつある連邦軍残存艦隊を,新公国軍のMS隊が襲う。第一波は機動戦闘の花,5式高機動兵器
が再び戦場に姿を現した。
「隊長,義手の具合はどうですか?」
「ん,特に違和感は無い。自分の腕と同じとは言えんが,操縦には充分だ。」
そう答えながら,MS技術のフィードバックで生まれ変った自分の左手を眺めながら彼は
『ラトーラは気味悪がるかもしれんな?』等と不謹慎な事を考えていた。

連邦艦隊の必死の迎撃砲火をかわし,一撃離脱で強力なビーム砲撃を加える。彼らが通りすぎた後には
7つの閃光が煌いた。
「意外と少なかったな?まぁ良い,後は任せたぞ………。」

第二波は,試8式の『悪夢』がMSの大群を率いて襲撃してきた。シミュレーション・エースの彼らも
要塞守備艦隊との交戦で少なからず経験を踏んでいた。そして,もちろん一年戦争生き残りのベテラン
も居る。士気も高く,数においては勝る連邦軍MS部隊とよく拮抗していた。しかし,今度は連邦軍も
必死だった。ここで負ければ,もはや後は無い。そんな危機感が連邦軍パイロット達の能力を最大限に
引き出していた。そして,その気迫は技量と機体性能において勝っていても,経験の浅いパイロットの
多い新公国軍のMS部隊を圧倒していた。

「無様だな。儂が出る。」
その様子を司令室で見ていた公王が言った。
「陛下,お待ち下さい。それは,あまりにも危険です。」
「なーに,艦隊を出撃させるだけだ。グワランからは出んよ。」
「ならばご安心です。公王陛下ご出陣にあらせられる。艦隊出撃準備を急げ!」

必死で艦隊を集結させつつある連邦軍。それに攻め入ろうとして,護衛のMS部隊に阻まれている公国
軍のMS部隊。さすがの試8式も,戦闘稼働時間は短い。

「これでは,味方の損害も馬鹿にならんな。」
機体を冷却するため,一時的に後退した試8式のコクピットで『悪夢』が呟いた。しかし被害を蒙った
09RII,14Aともに,致命的な損傷を受けているものは少ない。とにかく,腹さえ無事なら,手足
を失っても,なんとか助かっている。05や06を使っていた時代とは隔世の感がある。この数ヶ月で
促成したパイロットであるが,彼らを根こそぎ失う事態は避けられそうであった。

「なにっ,陛下がご出陣なさるのか?」
要塞からは,総旗艦グワラン以下の近衛第一艦隊が発進しつつあった。

だが,沈船とコロニーの残骸の影に隠れてこの機会を待っていた艦があった。
「ジェノサイド・ファイター隊,発進せよ!!」
熱核融合炉を搭載し,ビーム砲を装備した,無骨な戦闘爆撃機3機が飛び立った。強力な熱核ロケット
で5式に迫る加速力で要塞に迫る。発進中の艦隊と要塞の迎撃砲火をかわして接近したその機体から,
それぞれ1発,計3発のミサイルが発射された。うち2発が迎撃され,残った1発が炸裂した。

要塞正面の宇宙空間が,核の炎に包まれた。
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「ねぇ,ジェノサイド・ファイターって,何なのよ?」
「連邦軍が秘かに開発していた,核攻撃専用の宇宙戦闘爆撃機だよ。核での皆殺しだからジェノサイド。
分かり易くて良いよね。ちなみにジェノサイドのイニシャルは”J”では無くて”G”です。」
「なるほど,そう来るわけね。で,フェルケルザムって誰?」
「このソロモン王国編で登場する新キャラは,全員いい加減な所から引っ張ってきてます。なので全部
オリジナルです。」


赤い狐(ソロモン王国編)第11話 投稿日 : 2000年1月7日

要塞を出撃したばかりの公国軍艦隊を核の閃光が襲った。

「殿の艦隊に核だと?!」
『悪夢』に代わり,純白の14JGを駆って,部下の指揮を引き継いでいた『狼』は驚愕した。
同じ様にベテラン部隊に動揺が拡がる。幸いな事に,大多数のパイロット達はその事に気付く余裕すら
無い状態で必死に戦っており,先輩達の狼狽に気付く事は無かった。彼らがそれに気付いていたなら,
公国軍はその瞬間に一気に崩れていたかも知れなかったのである。

「陛下!!陛下は,ご無事か?」
冷却しなければならない機体を,さらに過熱させながら,試8式が隊列の乱れた艦隊に接近する。
幸いにも,被害を被った艦艇は少数であり,6隻が沈み,11隻が中・大破したのみであった。そして
轟沈した艦の中にはグワランは無かった。

「ものども,うろたえるな!!儂は無事だ。!!」
身長3キロメートルはあろうかという巨大な立体映像が要塞正面の空間に映し出され,吼えた。
しかし,その映像が怒鳴るのが聞こえた訳ではない。もちろん,通信として発せられたことに,間違い
は無かったが,高濃度の粒子下で通じるはずもなかった。
後で,エースパイロット達は,聞こえる筈の無いその怒鳴り声を確かに聴いたと証言している。
多分,気のせいなのであろうが。
ともかく,陛下の無事な姿を投影して,兵士達を安堵させ,かつ士気を鼓舞するという作戦は成功した。
とっさの機転でこれをおこなった通信担当官は褒められてしかるべきであろう。

乱戦に巻き込まれ,消耗し始めていたMS部隊は,これを機に整然と戦線を整理した。
そして,一部部隊を出撃してきた艦隊の護衛と,傷ついた艦艇の救助に当たらせ,大部分の兵力を連邦
艦隊との間に壁状に並べ,連邦軍のいかなる特攻攻撃へも対処できるよう配置した。そして残った一部
の精鋭は,恐るべき核攻撃を敢行した連邦艦へ突撃し,これに報復,たちどころに轟沈した。

そして,盾になった3隻の味方艦の犠牲により難を免れたグワランでは,一人の男が怒りに肩を震わせ
ていた。
「おのれ,連邦軍め。条約違反の核を使うとは!」
しかし,そばに居たフェードラー大尉の意見は異なっていた。
「このような状態で,敵が核を使用する事は,予想の範囲内でした。むしろ,連邦の非道を顕わす事例
として世間に喧伝するのが得策と存じますが。」
「いや,儂はきれい事で戦をしておるのでは無い。確かに迂闊であった。貴重な兵士を多く失っておる
が,これは儂の油断であった。狐めの献策『クロスロード』作戦を実行せよ。」
「陛下。あれは危険です。宇宙市民達の支持を失う事に繋がりかねません。」
「だが,残った敵の数は,まだ我が艦隊よりも多い。さらに,ピルツ,ルナ2,地球軌道の艦隊も倒す
必要がある。ここで,これ以上の戦力を失う事はならぬのだ。」
「判りました。では準備をさせます。」

そして,この命令に基づいて,突撃艇『ゲパルト』が要塞の後方から秘かに発進した。
「やれやれ,まさか,このおんぼろに出動がかかるとは,思いもよらなんだよ。」
ニールス・バッケ大尉がぼやく。
「使い物になる機体は,全部出してますからね。まぁ,出番があって良かったじゃないですか。」
まだ掃海作業が完了していない筈の宙域へ,艇を慎重に進入させつつウィスマン准尉が答える。
「ほんと,まさかコイツを使うことになるなんてなぁ。」
連邦軍が掃海作業で回収していた機雷の積載状態を見守りながら,ミルズ曹長が呟いた。
「さぁて,ハンスの奴は上手いことやっとるんだろうか?」
バッケ大尉がかつての部下を心配している。彼はシミュレーションでの才能を認められ,ZKのパイロ
ットとして抜擢されていた。

「こちら,ハンス軍曹。大尉,聞こえますか,どうぞ。」
直衛のF2(マインレイヤー装備)からの通信が入る。
「ハンス,護衛機はお前か!?噂をすればなんとやら,だな。」
「どうせ,僕の悪口を言ってたんでしょ?,さっさと仕事を済ましてしまいましょう。」
「お,一人前の口をきくようになったな。」
「こう見えても,半年間みっちり,シュライヒ大尉達のエース連中に鍛えられましたからね。」

こうして騒ぎながら,突撃艇とZKは暗礁宙域の深い部分へと姿を消していった。
しかし,連邦軍にこの動きを察知したものは居なかった。公国軍との交戦が一旦,収まったのを幸いに,
残存艦艇のとりまとめに全力を挙げていたからである。要塞正面の公国軍が,公王陛下を守るために,
臆病すぎるほどの配置をしていたおかげで,連邦軍はこの僅かな隙に集結を完了した。

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「また怪しげな作戦を立ててるのね,『クロスロード』って何?」
「ネタバレになるような事を聞くなよ。って言っても,特にミリタリーに通暁してなくても,良く知ら
れてる作戦の名前をパクってるから,判る人にはすぐバレるけどね。」
「アレって軍事作戦なのかしら?それにしても,J級突撃艇がまだ現役なのね。」
「うーん,0083年の『☆の屑』にも参加してたんだから,十分現役で良いと思うよ。特に,直接に
戦闘する訳じゃなくて,特務艦(敷設艦)としての任務だからね。」
「バッケ大尉達も登場出来て,後はエッセン軍医少佐。彼はまだ出ないの?」
「あんまり,医者が必要とされる状況は作りたくないぞ。」
「あら,今回はかなり,ヤバかったんじゃないの?」


赤い狐(ソロモン王国編)第12話 2000年1月15日

フェルケルザム中将の努力により,連邦軍の残存艦艇が集結を完了した頃,L5宙域に輸送船団が接近
しつつあった。

「何,我が軍の識別信号を出していない船団だと!?」
「はい,公国軍の新旧P型,民間の貨物船,さらには我が軍のC級輸送艦という雑多な20隻程度です
が,おそらく敵の増援,ないしは補給物資を運んできた船団だと思われます。」
「位置,航路は?」
「我が艦隊を迂回して,要塞の後方から入港する動きを見せています。」
「敵の要塞主砲の射程外ギリギリを通過して,それを阻止できるか?」
「時間的には可能ですが,あの宙域の掃海業務は完了していなかったはずです。大変危険ですが?」
「だが,現に敵はそこを目指しておる。」
「おそらく,通行できるルートがあるのでしょう。しかし,その手の資料は要塞の航路コンピュータの
中からは消去されていましたので,我々には判りませんでした。」

しばらく考えた後,中将は決断を下した。
「あれが敵の増援の場合,我々は非常に不利になる。要塞にたどり着く前に,船団を撃破する。輸送船
を沈めるために大兵力はいらん。1個戦隊をまわす。ラモス哨戒区からベララベラ管制区を抜けて要塞
の裏側へ廻り込んで,敵船団を叩く。ただし,機雷源には十分注意しろ。それから,これを気付かれぬ
ように,残りの艦隊が陽動で反対廻りに移動する。要塞裏面は,要塞砲の配置数が少ない。そっちから,
要塞に接近する作戦にみせかけるのだ。」

戦艦1隻と4隻の巡洋艦からなる戦隊は,敵の増援と思しき船団を攻撃するため,艦隊から分派された。
直援のMSは18機である。彼らは一旦要塞から離れ,大きく迂回して,要塞の後方へと回り込もうと
したのである。
だが,彼らは目的地に辿り着くことは出来なかった。途中に思わぬ伏兵が居たのである。

そして,その伏兵は,陽動のために移動していた本体をも襲撃していた。
暗礁宙域に踏み込んだ瞬間,待ち伏せしていた敵からビーム砲撃を受け,数隻が撃沈され,さらに被害
は拡大しつつあった。

「伏兵か!索敵は何をしていたか?熱源探知は?」
「敵の兵器が判明しました。ボールです。反応炉を積んでおらず,赤外線での発見は困難なのです。」
「ボール!?我が軍が用廃して民間に払い下げた機体ではないか。それが,何故ビーム砲を?」
「判りませんが,とにかく,あのボールなんです。しかも,いきなり出現しました。」
「光学索敵で発見出来なかった言い訳か?」
「それがシステムの残骸のミラーに隠れていたんです。敵の攻撃が無ければ判りませんでした。」
「待て,攻撃されるまで判らないだと!?確認出来た敵の数は?」
「およそ200機,しかし,位置が判明すれば,所詮は機動力の低い宇宙ポッド。GMの敵ではありま
せん。護衛のMS部隊を向かわせましたので,蹴散らしてくれます。」
「馬鹿な,すぐに戻らせろ。その200機が全部とは限らんだろうが!!」

艦隊の護衛として配置されていた600機のGMのうち,半数の300機が敵に吶喊した。機動力では
勝負にならず,次々とボールは撃墜されていく。

「えーい,これで7機目。たかがボールとはいえ,脆すぎるぞ。」
スナイパーIIを駆り,敵を倒していた連邦軍のエース,ルネ・フォンク大尉は違和感を覚えた。それも
そのはず,これらの戦闘ポッドが装備しているビーム砲は3発しか発射できず,しかも無人であった。
手応え無く撃破されて,当然の代物である。

「やはり,大して役には立たんな。」
試8式の補給と機体の冷却を待ちながら,戦況を見ていた彼は同僚に呟いた。
「いや,あのミラーボールを戦闘ポッドだと思っちゃ駄目さ。あれは単に大きな機雷だよ。敵を適当に
叩いた所で任務は完了だ。もともと,連邦の用廃機だしね。」
自分の黒い18Fを見上げながら,『黒騎士』が答え,続けて言った。
「さぁて,そろそろ第2陣が動き出すぞ。」

最初の200機が殲滅された頃,別の位置に隠れていた第2陣のミラーボールが姿を見せ,連邦艦隊に
攻撃を開始した。そして,暫くして第3陣が………。
やがて,連邦軍艦隊はある宙域へと,知らず知らずのうちに誘導されていた。

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「ついに,オリジナルのカスタム機が登場。その名も『ミラーボール』。連邦軍から用廃となった機体
を購入,秘かに武装(上部の砲座にビームバズーカ簡易型を搭載)し,さらに敵の目をごまかすための
ステルス光学迷彩を施し(残骸のミラーを両腕で抱える)無人で母機から有線操縦されるが,最終目標
を指示されると,単独で之を攻撃し突撃・自爆する。」
「ただの廃物利用じゃないの。」
「そうとも言えるな。ただ,乏しい資源をやりくりして,ありあわせを駆使して,強大な敵と戦い勝つ,
というのが,カタルシスなんだよ。」
「それはともかくとして,『黒騎士』の機体,どうして18Fになったの?」
「仕方無いよ。06Rじゃ地上で戦えないじゃないか。」


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