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赤い狐(ソロモン王国編)第13話 投稿日 : 2000年1月21日

ミラーボールの攻撃をかわし,進撃していた戦艦がいきなり爆発炎上した。ビームの直撃では無い。
「戦艦ビュサントール,触雷!!」
無人戦闘ポッドの攻撃の連続で,戦艦7隻,巡洋艦13隻を失い,それに等しい数の艦が傷ついていた。
そして,MSの損失は既に200機を上回り,使用に耐えるのは400機以下である。
核攻撃である程度の損失を与え,数的に有利になったとはいえ,思わぬ伏兵に連邦軍艦隊も戦力をすり
減らしつつあった。

「なるほど,奴らが手出しをして来なかった訳だ。我々を未啓開の機雷源に追い込むとはな。それより
別動部隊はどうなった。敵の輸送船団を潰したのか?」
「連絡は取れませんが,恐らくは,全滅したものと。」
「戦力を分散させるべきでは無かったな。このまま戦っても勝ち目は無い。傘とルナ2の戦力を統合し
捲土重来を果たすべきだろう。」
「では,金平糖奪還は諦めるのですか?」
「現有戦力では不可能だ。このまま進んで,要塞後方を通過してL5宙域を離脱する。だが,いきがけ
の駄賃だ。あの船団は沈めてやる。」
「しかし,ここはもう既に機雷源の中です。離脱こそ至難の業かと?」
「ありったけのミサイルと砲火で航路を啓開する。敵の船団の位置まで到達すれば,そこからは船団の
進入してきたルートを逆に辿れば安全な筈だ。準備を急がせろ。」
「はっ!!」

全ての残存艦艇が,機雷源を爆砕しながら進撃を開始した。この方法では,連邦軍の物量を持ってして
も暗礁宙域全体の掃海は不可能である。しかし短い距離を通過するだけなら,どうにかなりそうだった。

連邦艦隊の突撃を確認すると,輸送船団を率いていたハインツ中佐は,全乗員に脱出を命じた。
「巻き込まれたら,目も当てられん。急げよ。」

潰しそびれた機雷に触れ,一部の艦には被害が生じつつあったが,艦隊がそこに到達するであろう事は
間違いなく,その結果は船団にとっては死を意味する事は間違いようの無い事実であった。
乗員の脱出はかろうじて間に合い,連邦の巡洋艦が輸送船への攻撃を始めた時,ランチの群は既に要塞
主砲の制圧圏内に逃れていた。しかし,彼らはさらに加速して要塞内部へと逃げ込んだ。大いなる災厄
から逃れるかのように。

そして,連邦軍艦隊が要塞の後方に辿り着き(既に輸送船団は全て,轟沈している)この宙域から脱出
を図ろうとした時,輸送船団が進入して来たルートに沿って数発,核の閃光が煌めいた。

連邦軍艦艇の中でこれを免れた幸運な者は僅かであり,6隻の戦艦と13隻の巡洋艦が傷ついて残って
いただけであった。そして,その中でも航行能力を維持していたのは,2隻の戦艦と3隻の巡洋艦のみ。
だが,彼らには生き延びた仲間を収容する時間も,いや,それどころか自分達が逃げる時間も無かった。

「残敵を殲滅せよ。それが,この戦に遅参した我らに出来る唯一の償いである!!」
L1ポイントに潜んでいた筈の公国軍残党の巨魁,元親衛隊長がグワデンから命じた。
各艦からMS部隊が発進し,生き残った連邦軍艦艇を沈めていく。彼らの練度は新公国軍の比では無い。
なにしろ,全員が大戦の生き残りの超ベテランなのだ。さらに,機体も戦後生産された新品が補給され
ている。20隻足らずの艦を沈めるのに数分の時間もかからなかった。
これを見たある人は,『ルウムの再来だ。』と評したという。

「『鋭き峰』よ,よう来てくれた。」
「かような大事に遅参いたし,面目次第も御座いませぬ。」
「判っておる。ピルツの残敵を,よく牽制し続けてくれた。そのおかげで,我が星を再び取り戻す事が
出来たのだからな。だが,連邦軍はこれで壊滅した訳では無い。残った敵を討ち果たすために,おぬし
の力を借りるぞ。」
「亡き先代の霊をお慰めし,さらには,戦いに倒れた戦士達の魂に安らぎをあたえるため,微力ながら
我が力,存分にお使い下さい。」

こうして,公国軍残党勢力がダビデの星に結集した頃,金平糖を脱出したテクメシュ中佐率いる連絡艦
(通信能力を高め,逆に火力の低くした巡洋艦)『マンネルヘイム』は月を目指す軌道を取っていた。
「とりあえず,”傘”の守備艦隊と合流してからだな。全てはそれからだ。」
「後方から接近する物体があります。こりゃぁMSだな。GMのようですが?」
「なんとか逃げ出せた奴が外にも居たんだな。よし,収容してやれ。」
それは,フォンク大尉の両足を失ったスナイパーIIを担いだ,ルーク中尉の左腕を失ったGSであった。

「大尉,助かりましたよ。大丈夫ですか,フォンク大尉!」
「そうか,やっと休めるな。助かったよ,中尉のおかげだ。」
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「『赤い狐』は核なんて持ってなかったんじゃ無かったの?」
「某黒海沿岸での戦いの時に,例の骨董屋の仕事を妨害したときに手に入れた物だよ。覚えてる?」
「まさか,今頃出てくるなんて。」
「実は,使うつもりで忘れていたんだ。」
「外にも,色々と忘れてるでしょ。シマール兄弟とか。」
「超能力者を出すと,話がややこしくなるんだよ。忘れてる訳じゃ無いんだけどね。」
「分かり切った事を聞くようだけど,『鋭き峰』って誰?だいたい見当はつくんだけど。」
「想像通りの人物さ。出しそびれてて,ギリギリ間に合ったってトコだね。わざわざ邦語訳してるのは,
宮廷の雅言葉のイメージなんだけど,公王陛下にはちょっと似合わないかな。」


赤い狐(ソロモン王国編)第14話 投稿日 : 2000年1月30日

巡洋艦『ケーニッヒグレーツ』は,僚艦2隻を連れて,”傘”周辺宙域を警戒する任務にあたっていた。

「通信を傍受しましたが,どうやら金米糖に向かった艦隊は全滅したらしいです。」
「4倍の戦力と『システム』を使っても,駄目だったのか?」
まさかといった感じで,副長がもらす。

しかし,艦長K.ゴトー大佐の考えは,そうでは無かったようである。
「とにかく,各艦隊の連携が全然とれてなかったからなぁ,あれでは無理もないよ。」

「艦長,味方の識別信号を受信。巡洋艦4隻が接近中。金平糖からの脱出艦と思われますが?」
「油断するなよ,敵の偽装工作かもしれん。直接通話は出来るか?」
「画像は無理ですが,音声のみなら可能です。回線繋ぎます,どうぞ。」

「こちらは,”傘”守備艦隊の『ケーニッヒグレーツ』,接近中の艦隊,聞こえるか?」
やや遅れて返事が返る。
「こちらは,金平糖守備艦隊の『マンネルヘイム』。要塞の残存艦艇を取りまとめて,脱出して来た。
傘への収容を願いたい。」

「どう思います?公国軍の罠とも考えられますが。」
慎重な態度の副長をヨソに,ゴトー艦長は即答した。
「了解した。全乗員,特に負傷者のリストを大至急送ってくれ。要塞に急送する準備を整える。」
「感謝する。だが,重傷者はほとんどいない。全員が疲労の極みにはあるがな。ところで,そちらの
艦長はゴトー大佐か?」
「私はゴトーだが,何か?」
「俺だよ,俺。テクメシュ中佐だ。」
「やぁ,何処かで聞いた声だと思ったらビル先輩じゃないですか。憲兵隊の先輩が何故,巡洋艦の指揮
を執っておられるんです?」
「話せば,長くなる。艦隊が合流してからゆっくり話そうじゃないか。」
「そうですね,要塞に戻って,暇になったら。」

通信を終了させると,大佐は副長に向かって笑った。
「世間は狭いね,士官学校の先輩が乗ってるよ。敵の罠では無いことは確かだ。」
「それはそうですが,金平糖が陥落したのは,『民間船舶を装った敵が虚をついて乗り込んできて,中
から崩壊した。』と,聞いていたもので,今回も慎重になるべきだと考えたのです。」
「それは無いよ。あの『赤い狐』が似たような作戦を2回も続けてするはず無いからね。」
「しかし,その策士とやらは,月で公国軍残党同志の主導権争いで死んだという話ですが?」
「本当にそうなのかな?もし,仮にそうだとしたら,今回の金平糖失墜は,一体誰が仕組んだのかな。
敵には,奴以上の参謀が居る事になるよ。」
「そいつは困りましたな。でも,私は大佐だってなかなかの物だと思いますよ。もしあの策士が生きて
いたとしても,大佐なら知恵比べしても負けないと思っていますから。」
「あんなペテン師に負けてないって言われても,何か嬉しくないな。」
副長はそこで,話題を変えた。
「ところで,テクメシュ中佐ってどんな人物ですか?なんだか豪快そうな人物ですが。」
「そうだねぇ,油断も隙も無い人だよ。陸戦に関しては超ベテランだし,多分今度も一度は捕虜にされ
てたのを脱出して艦を奪って逃げてきた,くらいの武勇伝を聴かせてもらえるんじゃないかな。」
「それは,ちょっと楽しみですね。」

だが,要塞ではそれどころでは無い事態が待っていた。

赤い狐(ソロモン王国編)〜〜Ende〜〜
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「こらーなんだー,変な所で話が途切れてるぞ。」
「えー,説明します。話はまだまだ続いていくのですが,サブタイトル(ソロモン王国編)とは,何か
ちょっと違ってくるので,この話はお終いにしました。」
「確かに,視点はだんだん連邦軍になってるわね。」
「実は,次章では連邦側のヒーロー,K.ゴトー大佐の活躍を予定しています。」
「それで,使えそうな実戦部隊を合流させたのね。憲兵隊中佐とか,エース二人とか。」
「単純な戦力の潰し合いにはならない予定なので,エースの二人にすぐ出番があるかは判らないよ。」
「ところで,連邦軍の残存戦力ってどのくらい残ってるの?」
「この『ソロモン王国編』で,半分は倒したつもりだから,後半分はまだ残ってる。なかなか大変だ。」


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