Web:
Click here to visit our sponsor

赤い狐秘録(誰が彼を『赤い狐』と呼んだか?)

UC0080年8月,インド洋上の旧公国軍潜水艦U−99にて

クルツ曹長(以下クル)「なんか,最近暇ですねぇ,中尉。」
ハルトマン中尉(以下ハル)「そうだなぁ,俺達『アキロニア戦記』以来,ずぅっと出番無しだからなぁ。」
クレッチマー少佐(以下艦長)「何言ってる!お前は『ローマ戦記』に登場したじゃないか?ワシなんか,
  名前がチラと出ただけなんだぞ。」
クル「『ローマ戦記』と言えば,校長先生の一番古いエピソードですよね?」
ハル「あの時はまだ,校長じゃ無くて,ただの教官だった筈だよ。変な先生だったけどね。」
艦長「そうだ。あの時は大佐では無く,少佐だった筈。ワシもまだ大尉で,練習艦の艦長だった。
  ハルトマンも訓練生で,そう言えば,コイツはその時貴重なZKを潰したんだ。」
ハル「あれは,敵のまぐれ当たりです。痛い目にあった。」
クル「ところで,『ローマ戦記』で既に『赤い狐』というあだ名が出てますけど,これは誰が呼んだのが
  最初なのですか?」
ハル「あ,俺もそれ知りたい。艦長は御存知ですか?」
艦長「ワシも良くは知らんのだが,どうも公国成立前,ムンゾが共和国だった時代の事らしいぞ。」
クル「そんな昔?」
艦長「ワシも先輩から聞いた話なんだが,大佐が共和国防衛隊の少尉だった頃,防衛隊にゾルク
  オームラという傑出した戦略家が居て,それが少尉に目をかけてたらしい。」
ハル「オームラ閣下と言えば,今度のドルゲ政権では国防大臣との噂の高い人物ですね。」
艦長「そうだ。ある日,地球連邦との交歓パーティで,連邦の駐在武官が,オームラ閣下の戦略・戦術論
  を批評する内容の発言をしたんだ。それを少尉が,聞きとめて論争になった。そして,話では決着が
  つかず,戦術シミュレーションで勝負をしようと云う事になり……」
クル「当然,先生が勝ったんですよね?」
艦長「引き分けたそうだ。しかも,5回戦って5回とも。」
ハル「話が全然,『赤い狐』の謎には迫っていないような?」
クル「例えば,先生の事だから,軍服じゃ無く,赤いスーツ姿で,美女を侍らせながら対戦したとか……」
艦長「良い読みだな,クルツ。そして,その時少尉は本気では戦っていなかったらしい。後でその配点を
  確認したら………」
ハル「同席していた女への愛のメッセージになっていたとか?」
艦長「どうした?今日はみんな鋭いな。NT能力が覚醒したか?」
クル「校長先生らしいや。」
艦長「それで,その対戦した連邦の武官が少尉の事を『狐のように狡賢だが,不真面目な真っ赤な奴』
  と評して,それをオームラ閣下との対談で話した。以来オームラ閣下は少尉を『赤い狐』と呼ぶように
  なったんだ。」
ハル「なるほど,ただスケベなだけじゃ無かった。」
クル「ところで,先生にコケにされた,連邦軍の武官というのは?」
艦長「皆も聞いた事があるよ。我が国父の葬儀に参列し連邦代表で弔辞を述べた人物だ。」
ハル・クル「えっ,それって,あの将軍じゃ……」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「エラいホラを吹いてしまった。」
「クレッチマー少佐も『先輩から聞いた話』と言ってるから,実話じゃない可能性もあるのね。」
「伝説とは,そんな物だよ。著名人の為に逸話が捏造されることは良くある。」
「ところで,『我が国父』はもちろん判るんだけど,それに参列して弔辞を述べた連邦軍人って誰?」
「アレ,覚えてないの?かなり前にサイド7のBBSに投稿した筈だけど。」
「そんなの,読んでない人だっているわよ。」
「じゃぁ,種明かし。答えはデビル将軍です。」
「それ誰よ?」


短篇集へ戻る