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赤い狐・外伝(ローマ戦役編)第5/6話(確定)

連邦軍宇宙艦隊は混乱の極みにあった。
推進剤が欠乏し,ほとんど漂流に近い状態で補給作業を待っていたのである
から,ZKの攻撃に対し有効な回避行動をとれるものは居なかった。
それどころか,補給待ちの間に反応炉の温度を下げてしまっており,砲塔へ
の撃力の充填すら出来ない有様であった。
その上,何度も受けた『赤い狐』の襲撃のため,対空砲の類は壊滅しており,
有効な反撃は何もほとんど出来なかった。

わずかに生き残っていた機関砲と,本来は艦隊が守らなければならない筈の
補給艦の機銃砲塔が散発的な迎撃砲火を浴びせるが,圧倒的なZKの攻撃の
前には,なんらの効果もなしえなかった。

公国軍のエースパイロット達は思うままに戦場を支配し,望むところの敵艦
を葬り去った。
特に1機の巨大なZK(そのZKが事実,巨大であったかは定かではない。
あくまで,生存者の証言に過ぎない。)の戦い方は豪快そのものであった。
右肩の盾を排し,両肩にスパイクアーマーをつけたZKは,戦艦艦橋の正面
の甲板に着艦し,手にした巨大な斧を振るった。
それを見ていた誰もがこれを冗談だと思った。いくらZKが巨大といっても
100tもあるまい。それが1万tを越す質量を有する戦艦に斧を打ち付け
ても,反作用で後ろに弾き飛ばされるのが関の山である。また,宇宙空間を
20km/秒以上の速度で航行する戦艦の装甲があんなもので壊されるとは
とても思えなかった。
しかし,HEATホークと称されるその斧は,刃の部分から放出する超高温・
超高圧のガスジェットで,戦艦の強固な複合装甲をいとも簡単に切り裂いた。
この豪傑の他にも恐るべきエースパイロットが居た。
斧を持ったZKの傍らを片時も離れることなく戦い続けた,肩と頭部が白い
ZKは,連邦軍の反撃(そのほとんどがFF−3S戦闘・攻撃機の自殺行為
にも等しい悲壮的な攻撃であった)を退け続けた。
彼こそ将に集団戦闘に長け,リーダーに忠誠を誓う『狼』そのものであった。
その,白い頭部は漆黒の宇宙空間にはことのほか目立ち,わずかに生還した
連邦軍パイロット達は彼のZKが「死に神の『髑髏』のようにに見えた。」
と語ったと伝えられている。

この混戦のさなか,ケーニッヒグレーツに出来る事と言えば,補給艦とZK
の群の間に入り込んで,例のごとく,敵の視界を奪う弾幕を発射。後は煙幕
を張って,船団を敵の視界から隠蔽する。以後は防御弾幕を密にして,敵を
寄せ付けないように努力する。
その程度の事しか出来ることは無かった。
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「うわ,ついに歴史上の人物の登場ね。」
「ローマ戦役を書くと決めた時から,出すと決めてたからね。」
「というか,この二人を書きたかったから,ローマ戦役になったとか?」
「そういう訳でも無いんだけどね。ただ,前々からHEATホークを振るう
ZKを書きたかったのは本当だよ。そして,HEATホークを振り回すZK
と言えば,あの『豪傑』を出さなきゃいけないじゃないか。」
「ところで,そのHEATホークも公式な設定じゃないわよね。」
「前に”SIDE7”でも書いたけど,完全な”俺設定”だよ。ただ,これ
以外に『チタン合金の盾を1,000kw以下の出力で一瞬にして切断する』事は
不可能に思えるんだ。もっともHEATホークが現実に可能な技術かどうか
は,私にも判らないけどね。多分,宇宙世紀なら出来るんだろう。」
「さて,次回は最終回ね。意外に短かったって感じなんだけど。」
「『アキロニア戦記』は例外中の例外だよ。あれは完全に思いつきだけで
だらだら書いていったものだからね。」
「それで,訂正文があんなにたくさん出たのね。」
「だから,もうその話題は止してくれよぉ。」


赤い狐・外伝(ローマ戦役編)第6/6話(前編)

連邦軍第34艦隊及び第36艦隊は壊滅的な打撃を被っていた。
艦隊の主力はZKの猛攻の前に為す術もなく,沈められ,生き残っていた
のは,発射管の中でミサイルを爆発させ,爆煙をながすなどの偽装を施し
ZKの攻撃を逃れたケーニッヒグレーツと,やはり船腹に大穴を開けて,
大破状態を装った補給艦4隻のみであった。

「これでは,生存者の救出も難しいですね。」
「それどころではないよ。一刻も早くこの場所を移動しないと,我々も
助からないよ。」
「敵の攻撃は一段落ついたのでは?」
「あの『赤い奴』がきちんと戦果確認したら,ほぼ無傷の輸送艦が残って
いることに気づく筈だ。見逃してはくれないだろうな。」
「では,艦長の捜索は諦めましょう。運が良ければ生きているかもしれな
いでしょうけど。」
「それは,無理だね。旗艦マカロフは例の豪傑に艦橋を斧で破壊された後
反応炉が暴走して自爆した。生存者がいる可能性は皆無だよ。それよりも
今生きている者が生き延びられるように努力しようよ。」
「判りました。各補給艦に移動するよう進言します。それで,シヴァ准尉
の仕掛けはどうします。今のうちにセッティングをしておいた方が良いと
思いますが?」
「いや,実はもう動いている。シヴァ君に任せてるよ。そろそろ移動開始
したいから,上手く繋がっているかテストしてみようかな。」

「副長,補給艦503号から,『システム起動準備完了』とのことです。」
「よし,『リア方面に脱出する。』ように見せかけて,移動開始。」

そして,戦場を後にした5隻の背後に再び,ZKのシュバルムがその姿を
現した。
「来ました。例の『赤い奴』もいます。全部で8機。」
「と言うことは,もたもたしてると,残りのZKに進路を塞がれるな。
シヴァ准尉の力作の効果を試してみよう。」

巡洋艦ケーニッヒグレーツと4隻の補給艦との間には,秘匿通信回線用の
光ファイバーケーブルが渡されていた。普通は要塞等の外に停泊中に電力
供給用の電線等と一緒に繋がれて,電波妨害を排して通話を確保するため
の物であったが,今は5隻を一つの宇宙船としてつなぎ止め,通信の確保
以外にも加速の同調,外部観測モニターの集中・分散管理の為に使われて
いた。もちろん遅れた艦を引っ張る力はないので,機関の推力調整は微妙
を極めたものが必要であったが,サカキ大尉はこの5隻の付かず離れずの
位置を確保し続けるという困難な仕事をやり遂げていた。

「ZKを有効射程内に捕捉。レーダーでは未確認ですが,光学観測機器の
照準で有効な打撃を与えられるはずです。」
「じゃぁ,すぐに撃って。」
だが,射撃はわずかにはずれた。しかし,ZKは長距離からのあまりにも
精密な射撃に畏れをなしたか接敵を諦め,離れていく。
続けての射撃はミサイルも含めたもので行われた。ただ,その時にはもう
ZKは有効射程の外に離脱していた。射撃の精度はさらに上がっていたが
砲火はわずかにそれ,反転の遅れていたZKにミサイルが当たり,わずか
に溜飲を下げることが出来ただけである。
「やはり,試射しなかったのがマズかったかなぁ。」
「まぁ,ZKを追い払った事で良しとしようよ。補給艦じゃなくて,戦艦
が5隻なら,もう少し引きつけて,殲滅できたかもしれないけど,贅沢を
言い出せばキリがないからね。」
こうして,ケーニッヒグレーツ他の艦隊は『赤い奴』の虎口を逃れること
にかろうじて成功していた。
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「質問が2つ。今回が最終回って宣言してたのに,『前編』って何なの?」
「いや,もう少し短くまとまると思ったのに,意外と長くなってね。次回
の『後編』で,終わるよ。と言うよりも,今の段階で話は完了してるよ。
後はエピローグみたいなものだから。」
「じゃぁ,次の質問よ。世界観を変えちゃうような長距離精密射撃が何故
可能になったの?」
「これは,”俺設定”の世界なんだけど,連邦の宇宙艦隊が長距離射撃を
する時には,複数の戦闘艦が複数のレーダーを使って,射撃管制を行う事
で,単独で射撃するよりもはるかに精密な射撃を行う事が出来たと思うんだ。
レーダーの能力はアンテナの大きさによるから,仮に2隻の戦艦が20km
離れていて,それぞれのレーダーの観測結果を編集すると,20km大の
レーダーで観測したのと同じ結果が得られるんだ。もちろん互いに精密な
位置関係が判明していないと,無理だけどね。今回はそれを光学観測機器
で代用して,電波によるデータリンクを光ファイバーケーブルで代換した
というわけさ。」
「つまり,昔の戦艦の艦橋の上にあった測距儀を超巨大にして,隣の艦艇
の上にまで伸ばして載せたような感じかしら?」
「乱暴なたとえだけど,イメージは正しいよ。」
「これって,有線誘導の無人機でつかえそうね。」


赤い狐・外伝(ローマ戦役編)第6/6話(後編)

「ハルトマン訓練生は大丈夫か?」
「どうも,機体は無理のようです。しかし,左肩の脱臼以外はパイロットに
怪我はありません。イヌマ訓練生の機体に収容しました。」
「具合はどう?」
「なんか,うんうん唸ってますが,大丈夫でしょう。命に別状有りません。」

「…………。」
「少佐,どうかされましたか?」
「いや,さっきの敵のことを考えていたんだ。おそらく輸送艦の観測機材を
使って精密射撃を試みたのだろう。試作的なもので助かったが,実用レベル
の兵器になると,機動兵器の優位は無くなるな。まぁ,無力化する手だてが
無いわけではないが,面白くはないな。連邦にも面白い奴がいる。帰ったら,
フェードラー中尉に調べてもらうとするか。」

「少佐!シュライヒ訓練生です。ハルトマンの機体を回収しました。しかし,
これはもう使い物にならないのでは?」
「そうだ,使えない。だから公文書の上では廃棄する。そして,リアに持ち
込んで連邦のスパイに売り飛ばす。新鋭機に見せかけてね。もちろん重大な
機密に係わる部分は偽の部品と交換しておく。多分高値がつくはずだ。」
「良いんですか?少佐。私なんかにそんな話をして。」
「おや,信じたのかい?この話は女の子を口説くときに使うネタさ。」
「少佐のジョークは時々,真に迫ってますから。結局,実際この機体は何に
使うんです?」
「それは,軍事機密さ。」

「母艦を視認。発光信号です。『雛鳥全員の生還を祝す』とのことです。」
「これはまた,艦長・クレッチマー大尉の言葉とは思えないな。」
「多分,航海長のレイラ中尉が考えたんですよ。そういえば,少佐は彼女を
落とすっておっしゃってましたけど,もうモノにしちゃったんですか?」
「それはもう,大変重要な機密事項だよ。」

その頃,ケーニッヒグレーツでは
「やっと,例の『赤い奴』の正体が判りましたよ。最大望遠で撮った画像に
奴のパーソナルエンブレムが写っていたんです。『頭に葉っぱを載せた狐』
だなんて,ふざけた奴ですが,資料が手にはいりましたよ。」
「ふぅーん,『赤い狐』ねぇ。わっ,これは凄い。公国軍創設以来の軍人で,
あの,天才的戦略研究家”ゾルク・オームラ”の一番弟子だって,こんなの
相手によく助かったもんだよ。みんな運が良いねぇ。なるほど,今は訓練生
教官なのか。じゃあ,あの未熟練パイロットは本物の教習生だったわけだ。」
「ところで,『赤い奴』だか,『赤い狐』だか,知りませんが,なんていう
名前です?」
「レミューズ・エスパルト少佐。宇宙攻撃軍で,最初期から,MS運用研究
をやっていた男らしい。」

これが,
連邦軍の『*の*』K・ゴトー少佐と,公国軍の『赤い狐』エスパルト少佐
の最初の出会いであり,戦いであった。
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「やぁ,やっと,『ローマ戦役編』も完了だ。これで宿命のライバル登場。
しかも,ライバルの手足となる二人の助っ人(電子技官のシヴァ准尉と天才
的な機関技術士サカキ大尉)も出した。後はシマール兄弟と戦うパイロット
が必要だな。」
「この上まだ外伝を出すつもりなの?」
「必要があれば,なんぼでも書く。とにかく架空の戦後を書くにはしっかり
した状況設定と適正な人材を配置しておかなければならない。」
「戦後の話はいつからになるのよ。」
「もう少し先だ。そうだなPS版ギレンでアイデアを練ってから………」
「21世紀が来ちゃうじゃないのよ。」
「まだまだ,やることはいくつもあるんだよ。とりあえず映画版でその死が
描写されていない人物(マ大佐等)は生きている設定で,問題ないんだけど
MIA(戦闘中行方不明)を生還させたり,他にも行方不明の人物を捜して
見つけなきゃならないんだ。」
「ところで,連邦のゴトー少佐の『*の*』って何なの?」
「いや,まだ適当なあだ名が思いつかなくてね。仮に『緑の狸』とでもして
おこうかな?」
「かわいそうなあだ名ね。ところで,次は何処に行くの?宣戦布告直後?」
「それは,重大な軍事機密だ。」


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