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 赤い狐(勝利の塔編)第5話 投稿日2000427

要塞ピルツに迫る公国軍艦隊。その中の第二戦隊指揮官,タモン少将は不機嫌であった。
今回の作戦は,本来ならば自分が指揮する予定であったのだ。
ところが,サイド6の義勇軍の参加を世に喧伝する必要から,司令官をリーア出身(サイド3革命時に
思想に共鳴し移民してきたという経緯がある)のズュートヴォルケ中将に替えられ,自らはその補佐役
に就かされたのである。
ズュートヴォルケ中将も決して無能という訳では無く,公国軍の中でも部下に温情篤い人徳のある将官
として知られており,やや慎重の癖はあるが,それとて幾多の会戦で,艦隊と部下の命を救ったという
実績を鑑みれば,不当に貶めるべき性格とは言えなかった。
しかし,「兵は拙速を旨とすべし」を教条とする敢闘精神の塊りのようなタモン少将にとっては,我慢
のならない人事であったのである。

「出撃命令はまだか?えぇぃ!いつまで待たせるつもりだ。」
第二戦隊の機動巡洋艦『ワイヴァーン』艦橋から,眼前の総旗艦『ローテンブルグ』のその名の通りの
真紅の船体を睨みながら吠えた。

「司令官閣下も,慎重にならざるを得ないんでしょう。今回の参加艦艇のほとんどは戦後にサイド6の
秘密ドックで建造された新造艦ですし,乗組員も商船あがりの義勇兵ばかりです。
確かに要所は我々古参の軍人が固めていますが,まだまだ不安は大きい筈です。」
副官はそうフォローするが,タモン少将はまだ不満であった。

「確かに,現に我が艦隊の陣形を見てもわからんでは無い。とても今から攻城戦をやろうという艦隊の
陣形ではないからな。しかし,この俺を後詰めに配備してどうする気だ。艦隊行動中は,よもやおらぬ
と思ったが,落伍艦の補助の意味でしんがりを勤めたが,今度は先頭に立って戦わねばならんのだ。」
どうやら,少将が不機嫌なのは,待たされている事よりも,コッチの事情の方が大きいようだ。

そんな少将の愚痴を止めたのは,僚艦『ブラォ・ドラッヘ』からの通信であった。
「『ヒトフタマルマル,MS隊発進準備完了セリ』だそうです。」
「わかっておる!」
猛将の誉れ高きタモン少将の薫陶を受けた第二戦隊は,いずれの者も戦意が旺盛である。
イラついているのは,何も少将だけでは無かったのだ。
ワイヴァーンも,本日正午前に出撃準備は完了している。そして現在時刻は午後2時である。
「通信兵,ローテンブルグに出撃命令をもう一度催促するぞ!」


所は代わり,ここは総旗艦,重巡『ローテンブルグ』の艦橋。
ズュートヴォルケ中将が,艦隊の取りまとめに四苦八苦していた。
なにしろ,艦艇乗組員の過半数が,リーア州や月面諸都市出身の義勇兵なのである。もちろん民間船舶
の乗船経験がある者を最優先で配置に就けていたが,それでも戦闘艦艇の構造・機構は特殊である。
慣れないうちは失敗が多く,ピルツ要塞を包囲するための陣形が完成していなかった。

「まったくなんてザマだ。きっと要塞の連邦軍は我が艦隊を見て『へんな形だね』とかなんとか言って
笑っているに違いない。あぁ,もっと兵の鍛錬をすませてから作戦を発動させれば良かった。」
と,変なぼやきをつぶやく。

「仕方ありませんよ。元々はこの作戦は,タモン少将が麾下の精鋭部隊を率いて行う予定になっていた
のに,古参の艦艇多数が連邦の核攻撃から陛下をお守りする盾となって沈んでしまいましたからね。
核弾頭自体が戦術核に毛が生えた程度の威力しか無かったので,喪失艦艇数の割に戦死者は少なかった
のですが,かなりの乗員が被曝して入院加療中です。練度の低い義勇兵に出撃の機会が廻って来たわけ
なんですから。」
とは,副官の言であるが,どこの艦でも副官の任務は似たようなセリフを言う事なのであろうか?

「ワイヴァーンから入電,『直チニMS隊発進ノ要アリト認ム』とのことですが?」

「タモンめ,こっちの苦労も知らずに猛りおって!」
艦艇の配置状況を睨みながら答え,取り合わない。
「とりあえず,第二戦隊に先行偵察を命じられては?そうすれば,タモン少将も少しは静かになるので
はないでしょうか?」
「そんな事をしたら,奴は勝手に戦争を始めてしまうぞ。しかし,陣形が整うまでの間に,連邦艦隊が
出撃して来ると困るな。戦闘開始を引き延ばすアイディアは無いか?」

一人の参謀が発言した。
「閣下,情報によれば,要塞内には多数の民間人が収容されているとの事です。彼らの処遇に関して,
連邦軍と交渉するというのは如何でしょうか?人道上の配慮を行うという名目であれば,怪しまれずに
時間稼ぎが出来ます。」

「よし,それで行こう。至急,要塞に通信を送れ。」
………………………………………………………………………………………………………………………………
「第4話から少しだけ,時間軸が遡っています。というか,ほぼ同時進行です。」
「どうやら,両者の思惑がうまく重なったみたいね。」
「勇猛な約一名は不満の塊だけどね。」
「今回は,底の浅いミリタリーネタが満載ね」
「リクエストにお答えしました。けど,上司を無能には出来ませんので,慎重派と積極派という対立の
図式に替えてます。史実(笑)もこれに近いし。」
「ところで,『へんな形だね』って,南雲長官のセリフじゃ無いわよね?」
「こっちも底の浅いミリタリーだ。南じゃ無くて東の人のセリフだよ。(笑)」


赤い狐(勝利の塔編)第6話 投稿日:2000年59

公国軍からの通信内容は,要塞に籠もる連邦軍にとって実にありがたい申し出であった。
すなわち,要塞内に滞在している民間人2万人の処遇をどうするか?であったのだ。

巡洋艦ケーニッヒグレーツは,公国軍旗艦ローテンブルグの待つ宙域へ進出した。
乗っているのは,要塞司令官代行のK.ゴトー大佐,補給部総監のシンクレア大佐,そして護衛役の
テクメシュ中佐である。
この時,ゴトー大佐は司令官代行である事を伏せ,総司令官ゴードン中将の単なる名代という身分で
会談に乗り込んだ。司令官が倒れている事など,敵に公表するわけにもいかない。

戦後に新造された重巡ローテンブルグの設備は10年以上前に建造され,その後改装を重ねられつつ
使用され続けてきた公国軍の艦艇や,大戦中に大量建造された連邦軍艦艇と異なり,諸処の施設設備
が整っており,乗り込んだ連邦軍人を圧倒した。
豪華な調度品と,礼儀正しい乗組員の応対を受けた連邦軍人達は,公国軍の生まれ変わりようを見て
驚愕したのである。
しかし,これはズュートヴォルケ中将の策略であった。
乗組員が兵士としては素人なのを見破られないように,艦内を飾り立てて,連邦軍代表との応対を元
豪華客船乗組員の将兵に担当させたのである。
彼らは,軍人としては素人でも,接客に関してはプロ中のプロであったのだ。
もっとも,ゴトー大佐が目論見どおりに騙されたかは定かでは無い。

ゴトー大佐は,公国軍に連邦軍の側の条件を提示した。

すなわち,要塞駐留の全艦隊の任務は,
1.居留民(すなわち避難民である)の保護。この場合は連邦制圧圏内への護送。
2.地球圏の平穏を乱す軍事テロリストの討伐。
3.正当な所有者へ返還されるまでの要塞の保全。(注)
である事を確認し,この中で一番重要なのが1.であると宣言した。

そして,ゴトー大佐は,避難民を脱出させる事を最優先として,難民輸送船50隻とこれを護衛する
艦艇として,戦艦4隻,巡洋艦16隻の包囲の外への無条件通過を要請した。

この提案にはズュートヴォルケ中将は驚いた。
輸送船の数はともかくとして,公国軍情報組織が把握していた要塞駐留艦隊の全艦艇数に匹敵,いや
それを上回る数である。
包囲攻城戦を行う必要上から,重巡5隻,機動巡5隻,軽巡48隻という,予想される敵艦隊の3倍
の艦艇数を準備してきた筈である。
慌てて,中将はその情報の再確認を急がせた。
難民護送にそれだけの艦艇を払い出せるのならば,要塞にはその数倍の艦艇がまだ残っているのでは
無かろうか?と,もしそうなら互角の戦力で,しかも攻城戦である。
乗組員の練度も考慮に入れれば,到底勝ち目は無い。

しかし,公国軍情報本部からの回答は以前のものと同じであった。
すなわち,要塞駐留艦隊の総隻数は20隻程度であると。

ズュートヴォルケ中将は,これは謀略だと確信した。
恐らく,包囲宙域を脱した護送艦隊は,針路を翻し,要塞を攻略中の自軍艦隊の後方を襲うつもりで
あろうと。
これは,断じて認める訳にはいかなかった。

*注
 連邦の法制度上では,宇宙に存在するありとあらゆる天体を管理運営する権限は連邦政府にのみ
 認められていた。そして,連邦政府はこれらの資源を必要とする組織・団体に売却し,資金調達
 を行っていた。例外的に月の鉱山のみが各都市や企業に所有する事が認められていたに過ぎない。
 要塞を構築している3つの小惑星は,連邦政府からリーア州に正規に払い下げられた天体であり,
 これを旧共和国が,正当な代価を払って購入した物であった。連邦政府はこの譲渡取引を正当な
 ものと認めていなかったが,もしこの違反を追求すると,リーア州の所有する小惑星に連邦軍が
 無断で駐留しているという事になりかねなかったので,事実を追認する形で,共和国の領有を認
 めざるを得ない状況であった。
………………………………………………………………………………………………………………………………
「例によって,おおボラを吹いてますが,(注)は俺設定ですので,余所で吹聴すると思わぬ恥を
かくかもしれません。」
「今更そんな事を言わなくっても,誰も信じてないと思うけど?」
「まぁ,念のためにだ。」
「それにしても,要塞に残ってたのは8隻よね。居もしない艦隊を脱出する輸送船の護衛につける
というのは,どういう事?」
「ただのハッタリだよ。最初に20隻って言っておけば,話し合いで8隻に減らされても,特には
おかしく思われないようにという読みだね。」
「でも逆効果みたいだけど………」


赤い狐(勝利の塔編)第7話 投稿日:2000年529

 「どうも,妙だと思われませんか?」
一旦会談を中座して,与えられた部屋に入るなり,シンクレア大佐が口を開いた。
「妙とは?」
そう尋ねかけたゴトー大佐を制して,テクメシュ中佐が腰のポケットから機械を取り出し,周囲を
調べる。
「よし,盗聴装置の類は無いようだ。もう話を続けられても,大丈夫ですよ。」

「敵は何か時間稼ぎをしているように感じられるのです。ゴトー大佐の出した条件に対しての回答
もなければ,向こうからの提案もありません。金米糖の司令本部と連絡を取っているにせよ,何ら
かの回答が出ても良いのではないでしょうか?」
「さらに増援が送られて来つつある,という事かな?あまり考えたくないな。」
「まさか?我々の要塞に『たかだか難民の護衛に20隻もの戦艦を付けて送り出せる戦力の余裕が
存在する。』というハッタリを信用するほど敵も馬鹿じゃないと思いますよ。我々の意図を図りか
ねているというのが,実情じゃないかな?ビル先輩はどう思います?」
「だが,変な感じというのはその通りだな。どうも敵の兵士が戦士らしくない。先大戦の生き残り
のツワモノというよりも………そうだな月面で一番高級なホテルで会談している気分だよ。」
「出てきた時の敵艦隊の陣形も妙でした。例の『狐』の秘策とかで,要塞攻略のための特殊な布陣
とも考えたのですが,存外に艦隊の取りまとめがうまくいっていないだけの可能性もありそうです
ね。って,実は我々を油断させるためにわざと陣形を乱れさせてる可能性もあるんですが。」

「ま,疑い出せば限が無い。それよりも,我々の事情を見抜かれないようにしませんとね。」
そう言って中佐は片目を閉じ,合図をした。

「そうだね。我々は避難民さえ無事に送り出せれば,後は味方の増援が来るまでの間,要塞を死守
する準備も出来ているし,あまり考えたくは無いけど,もしも救援が間に合わなかったとしても,
それなりの覚悟も出来ている。敵が時間稼ぎをしたいならさせておくさ。コッチの準備もはかどる。
それよりも問題は一致団結の結束を乱す連中が一緒にいては,はっきり言って足手まとい,いや,
彼らは獅子身中の虫とでも言うべきかな。」
「カストリ提督以下のボンボン供だな?戦争については何も知らずに,ただ穴倉に隠れてて,戦い
が終わってから這い出してきて,命がけで戦ってきた俺達を指図しようとしてる。
それがまた危ない状況になったら,逃げ出そうと画策しているんだから,あぁ嫌になる。」

「中佐!仮にもジャブローの偉いさんなんだから言葉には注意して下さいよ。」
「なぁに,さすがの奴の腰巾着も,公国軍の戦艦の中には居るまい。敵の中にあって心が休まると
いうのも変な気分だよ。」
「とりあえず,カストリ提督には要塞に立て篭もって戦う根性の無い奴らを連れて出て行って貰う。
その考えはどうしても曲げられん。20隻は大げさだが,提督の面目もあるだろうし,6隻程度か?
いや,最低8隻は就けないと,そもそも出撃してくれそうに無いしなぁ………公国軍にも,その辺
で手を打ってもらいたいものだよ。」
「奴らを追い出したら,存分に戦えますよ。トラビス大佐!」
「先輩はデビィ・クロケットのつもりですか?縁起でもない事を言わないでくださいよ。まだ増援
が間に合わないと決まった訳でもないのに,ねぇボウィ大佐?」


だが,彼らの会話は公国軍には筒抜けであった。
テクメシュ中佐は,厳重に電子式盗聴装置の有無を調べたが,まさか通気口の中に伝声管が存在し,
その部屋の音声が直接別の部屋で聞き取れるようになっているとは思いもよらなかったのである。

そして,大至急,『カストリ提督』に関する情報が集められた。
曰く
地球出身,要塞艦隊副指令で少将,一年戦争中はほとんど後方で勤務しており,実戦経験は皆無。
士官学校の成績は中の下,ただし名門の出自であり上層部に太いコネがある。
事務処理能力に秀でており,実戦には出ること無かったが,優秀なな将官がシステムの照射により
戦死したため,大きなミスも無かった彼が年功序列で昇進したものである。

「確かに,儂でもこの提督は要らないな。」
ズュートヴォルケ中将は,その情報を見てそう呟いた。

「では,連邦軍の申し出を認めますか?」
「いいや,事はそう簡単では無いぞ。もしも奴らの気が変わって,護衛に出撃した艦隊が反転,
我々の後方を襲撃する,という可能性はまだ否定出来んのだ。」
「この『カストリ提督』に,それだけの気概がありますかね?」
「人は化けるぞ。それに我々との交渉の後で,敵の司令が考えを改め,別の者に艦隊を任せるやも
知れん。そうなった場合の事を危惧しておる。」
「はっ,そこまで思い至りませんでした。では,もし敵が反転して攻撃を加えられても,どうにか
しのげる戦力とは如何ほどか?を計算してみます。」
「うむ,頼む。それから陣形の建て直しを急がせろ。敵には見破られかけておるぞ!」
「はっ」
………………………………………………………………………………………………………………………………
「一応,念のために言っておこう,『トラビス大佐』『デビィ・クロケット大佐』『ボウィ大佐』
は3人とも,アラモ砦を死守して戦った英雄です。」
「アメリカ人なら知らぬ者は居ないくらいに有名な人物なのよね。でもアラモ砦って全滅しちゃう
んじゃ無かったかしら?」
「だから,『縁起でもない』って言ってるんだよ。」
「で,増援は来るのかしら?」
「そりゃぁ,難民が無事地球に到着して,なお要塞が健在だったら援軍を送ってくるはずさ。その
戦力が連邦軍にあれば,だけれどね。」
「で,本当に立て篭もるの?」
「さぁ?」


  赤い狐(勝利の塔編)第8話 投稿日2000年月25日

新公国軍の要塞攻略艦隊旗艦『ローテンブルグ』の作戦会議室に,第二戦隊司令タモン少将は居た。
他にも,艦隊の主だった者が集まっている。

「避難民の脱出は認めないわけにはいかないでしょう。」
タモン少将もそれは認めざるを得なかった。

「そんな事は判りきっておる。いちいち貴官らに相談したり,ダビデの星にお伺いをたてる必要も
無い。我が公王陛下が難民を巻き添えにした要塞攻略を望まれるはずはないからな。」
ズュートヴォルケ中将はそう宣言してから続けた。
「問題は,きゃつらの云う護衛艦艇を認めるか,否か。もしも認めるならばどの程度までを良しと
するか,その辺りを考えねばならんのだ。」

参謀の一人が質問を発した。
「司令,そもそも難民の移送船に護衛が必要なのですか?私はその点からして疑問に感じているの
ですが?」
「つまり,謀略の可能性が高い。反転して我らの艦隊の後背を討つ計略であると判断するわけだな。」
「はい,現在の状況で避難民を襲撃する可能性のある組織は存在しません。故に難民の護衛とは,
名目に過ぎないモノと。」

「ククククッ………」
タモン少将が失笑を漏らした。

「タモン提督,何が可笑しいのですか?」
「いや失礼。実は難民たちが恐れる理由はあるのですよ,それなりにね。実は休戦協定が結ばれて
からこれまでの8ヶ月で,優に200隻を超える船舶が宇宙海賊の襲撃を受け積荷を奪われ,また
それに数倍する船舶が消息を絶っているという事実を御存知かな?」

「え?………」
意外な発言に皆が静まる。
「一体何者が?」

「タモン君,参謀らを混乱させんでくれ給え。これはサイド6や月面都市の援助を我らが受け取る
為に仕掛けた作戦だよ。彼らは我々を公的には支援出来ない。だから「積荷を賊に奪われた」とか
「船ごと消息を絶った」という理由をつけて,物資の消失をカムフラージュしてくれたわけだ。」
ズュートヴォルケ司令が種明かしをする。
「ついでに言うなら,この『ローテンブルグ』も,大型貨客船として進宙し,試験航海の最中に謎
の消失をした事になって居るよ。」

「なるほど,『校長先生』いや,今は『連邦軍のヘルシュタイン大尉』と名乗っているあの男の
策略ですな。」
「そういう事だ。規模こそ違え,昔からやっておった事だが,今更連邦軍に真相を話して,難民を
安心させる,という訳にもいくまい。」

「そうですね。護衛を認めないとなると,逆に『我々の戦力を一部割いて,難民の護衛にあてろ』
とか,言われかねません。護衛艦を付ける事は認めなければならないでしょう。」
「だが,いくら何でも20隻は多すぎる。もし反転して,要塞攻略作戦中の我が軍の背後を取られ
たら一大事だ。」
「やはり,どの程度の戦力までを認めるか?が焦点というわけだな。」

その時,情報士官から連絡が入った。
「司令,シミュレーションの結果が出ました。連邦軍の艦隊が8隻,MSが30機程度であれば,
なんとか後背から攻撃を受けたとしても,耐えしのぐ事が可能です。ただしこの場合,我が軍の
後詰には,かなり強力な部隊を配置しておかねばなりませんが。」

「うむ,御苦労。では,敵の言う護衛艦の数は8隻に値切ろう。それから,タモン提督。後詰の
件はよろしく頼むぞ。」

「え?何?どうして,俺が?」

猛将タモン提督,なかなか活躍の機会は巡って来そうにないぞ。
…………………………………………………………………………………………………………………「やっと,赤い狐の連邦軍大尉としての名前が決まったみたいね。」
「そうです。『ヘルシュタイン大尉』と名づけました。」
「意味は?多分どうせろくでもないミリタリーネタなんでしょうけど。シュタインはドイツ語で,
『石』よね。ヘルって『地獄』の意味かしら?」
「スペルが違います。『Holle』では無くて,『Hell』です。」
「あら,意味が全然違うのね。でもやっぱりろくでもないミリタリーネタね。」


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