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”赤い狐”第5話(アキロニア戦記編)

”ツヴィーベル”の帰還はさらに4時間も遅れた。
墜落したターレット4号機の回収に手間取ってしまったのだ。
何をやってんだか。とにかく彼らは無事に司令部まで帰投した。

オデッサでアンリ,ルネ兄弟が赤い狐との再会をはたしていた頃,宇宙では
”黒騎士”シュライヒ中尉が輸送艦の護衛任務に駆り出されたことに不満を
抱きつつ,僚機と飛んでいた。
「今回の任務はかなり変だ。満腹の輸送艦10隻を地球まで護送といっても,
このボロ船の貨物内容は不明だし,しかも目的地も怪しいと来たもんだ。」
輸送船団は連邦からの捕獲品や退役寸前,いや退役済を引っぱり出して来た
ようなのから,明らかな民間船舶まであるという雑多なものであり,しかも
今は,月方面に向かって加速中であった。
「シュライヒ中尉,06R1Aはそろそろ推進剤の補給が必要となる時間だ。
”フェンリル”に帰艦してはどうか?」
「ああ,そうさせてもらおう。」
今回の出撃が突然であったので,マインレイヤー装備を用意していなかった
彼の機体は長距離作戦行動に不向きであったのだ。

公国軍宇宙巡洋艦”フェンリル”の艦載デッキでシュライヒ中尉は顔なじみ
の乗組員を探す。
「やあ,久しぶりだな。今回の作戦について何か知らないか?どうも妙な感
じがしてならないんだ。」
「黒騎士もこれに参加かい。なんだか突降隊の生き残りに総動員がかかって
いるみたいだな。こいつは中将閣下の特別命令で始まった極秘任務らしい。
驚くなよ。作戦の原案は”我らが恩師”が作ったものだそうだ。」
「そいつは凄い。ってことは,この作戦なら本気で連邦を潰せるわけだな。」
「ああ,詳しいことは上の人間しか知らないが,この戦争にケリがつけられ
るはずさ。」

「シュライヒ中尉,補給作業完了しました。」
「じゃあ,またな。今度逢うときは,戦勝祝賀会かもな。」
「だといいな。とにかく生きてまた逢おう。」
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「黒騎士も復活ね,でもなんで中尉なの?」
「まだ2隻めの敵戦艦を沈めていない頃の話だからな。」
「ということは,このシリーズでは敵艦撃沈のシーンが登場するわけね。」
「どうかな?まだ2隻めの戦果は設定していないからな。」
「それにしても,どうしてアンリ,ルネの兄弟が引っ込んじゃうの?ろくに
活躍してないのに。」
「地上戦に突入する前に謀略で動きがあるのさ。ツヴィーベルの活躍もそれ
からということになるね。」
「ところで,ペースが上がったのは何故?」
「資料収集をある程度,諦めたからね。判らないものは判らないなりにして
話を進めようとおもったんだ。と,いうわけで,今後の話は公式設定無視で
バンバン進めるよ。」
「まるで,今までそれを重視してたみたいに聞こえるわよ。」


”赤い狐”第6話(アキロニア戦記編)

「・・条約の制限によりコロニー等の大質量物体をして南米の連邦軍本部を
攻撃するという戦法を使うことは出来なくなりました。これにより,地上に
侵攻せざるをえなくなり,我が軍の戦略は大きく変化したわけですが,基本
的に南米の連邦軍本部を壊滅させない限り,我々の勝利がないという条件に
変化はありません。」
公国軍司令部の一室,3人の将官を前に男は自分の作戦を説いていた。
「大佐,我々は君のように暇というわけじゃないんだ。手短に頼むよ。」
「まあ,最後まで聴いてからにしたらどうかね?」

「続けます。連邦軍本部の防御は核の直撃でも破れません。しかも大量質量
兵器は使えません。しかし,上空での交戦の結果,偶然に艦船が墜落する事
故までは,もちろん条約で制限されているわけではありません。」
「は,馬鹿らしい。いつから我が軍は偶然の奇跡に頼るようになったのだ。」
「いや,その偶然が実は偶然では無いとしたら,うむ,面白い。続けたまえ。」
「連邦軍から捕獲した輸送艦を中心とした船団が現在・・」
男は壁に映し出された地球圏全図を指し示しながら説明をする。
「ダビデの星から月に向かって航行中です。そして月を迂回,最遠地点にて
軌道修正を行い地球に向け加速。途中で3回にわたり補給を受け,なお加速。
最終的には52km/秒の速度で地球に向かいます。無論,目標は南米です。」
「大佐!輸送艦の質量は?」
「要塞坑道の削り屑を詰め込みました。約125万トンが10隻です。」
壁のディスプレイにはそれが地上に激突した場合の効果が表示されている。
「うむ,これはいけるよ。しかも速度が違う。連邦のモグラどもが気付いた
時には完全に手遅れだ。」
「まったくだ。たった一隻の君の戦艦が地上に墜落した時の被害の甚大さを
思いだせば,あれの10倍以上重い船が10隻,しかも5倍の速度で落ちて
来る。ふはは,これで我が軍の勝利は間違いない。」
「しかも,捕獲船舶に鉱石屑とは。コストもまるで掛かっていない。」

感動に耽っている将軍達を冷ややかに見ながら男は説明を続ける。
「次に,いかに連邦軍の注意を地上戦闘に引きつけておくかについて・・・」
画面に黒海沿岸の戦力配置図と連邦軍の将官の姿が浮かびあがる。
「我が軍に協力を申し出ているE中将からの報告では,かの敗残将軍は今度
の攻勢に全地上兵力の2/3を投入するとのことですが・・・・・」

男の説明がそこで止まったのは将軍達の注意が用意された紅茶に向けられた
為ではなく,配膳に来た金髪美人の下士官に気を取られたからであった。
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「わ,いきなりな展開ね。底の浅いミリタリー知識をひけらかすのが,この
赤い狐シリーズの特徴だったのに,ハードなSF設定を持ち込んじゃうと,
読者も混乱しちゃうんじゃないかしら?それに,もしもこの計画通りに事が
運べば公国軍は勝てるんじゃないの。」
「もう負けることは判ってるんだから,成功しないんだよ。」
「どーせだから,成功してZIONが勝っちゃう話にしちゃえば。」
「そしたら,続きが書けないよ。総帥閣下が支配される地球圏で連邦の残党
狩りをする赤い狐なんか書きたくないぞ。」
「え,待って。失敗するってことは,シュライヒ中尉は危ないんじゃないの。
大丈夫かしら?」
「大丈夫に決まってるだろ。ただ,僚機は全滅しちゃうんだけどね。」
「それで,死神と呼ばれるようになっちゃうのね。」
「普通こういうネタバレは書かないけど,結果はみんな知ってるはずだから
問題はないよね。」
「あと,バンダイの公式設定が変わったから,ZIONは著作権上は無関係
ということで,自由に使ってもいいのよね。」
「そうなのかなぁ?」

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ちょっと暴走気味なので,科学解説。

>1,250万トン
容積100m×100m×50mのコンテナに花崗岩(比重約2.5)をぎっしり
詰め込むと125万トンになります。
参考までにコロンブス級改輸送艦の寸法は全長145m全幅110m全高55mだ
そうなので,充分可能な積載量と考えています。
シドニーに落とされたアイランド・イフィッシュの総重量は100億トン(ガンダ
ム・センチュリーより)と記録されているので,約1/800の重さということに
なります。なお,推進剤は別動部隊が事前に軌道上にデポしておき,加速途上で補
給するという方法を採っているものとします。(これで面倒な質量比の問題もクリ
ア出来る。)
>52km/秒
宇宙世紀の艦艇その他の速度の解説をした資料がまるで無いのでほとんどオリジナ
ルです。それで,この時代の最大速度を持つであろう木星船団の速度を推定し参考
にしました。公式年表等によると,約3年で第一次木星船団が帰還しています。往
復にかかる日程をそれぞれ1年,木星におけるヘリウムの汲み上げと精製作業に約
1年と勝手に解釈します。木星−地球の平均距離は7.8億km程なので,最低で
も平均24.7km/秒という速度が要求されます。しかし,宇宙船は加速と減速
を行いますので,最大速度はもっと速いはずです。もし,静止状態から加速し最大
速度に達したら直ちに減速を行い,目的地で静止するという行動をとった場合(最
大速度が一番低いケースです)の最大速度は49.4km/秒です。もっとも,地
球−木星とも運動をしており,宇宙船の軌道は大きな円弧を描くのでもっと速いは
ずです。でも,そこまで計算する能力がないので,止めておいて,消費税分の5%
増し(笑)の51.9km/秒としました。(仮定に仮定を重ねてるが,少なくと
も説得力はあるはず。<どこが?)
アイランド・イフィッシュの速度は11km/秒(ガンダム・センチュリーより,
1stのオープニングを見る限り,こんなに速そうには見えないが,他に資料が無
いので,これを採用。)なので,約4.7倍の速度である。エネルギーの量は速度
の2乗に比例するので約22倍相当という計算になる。
結論,赤い狐の船団の破壊力はコロニーの1/36は威力がある(はず)。


追記

あとでガンダム・センチュリーを読み返していたら,大気圏に突入した後に
コロニーは大気との摩擦・抵抗により数十分の間,減速された。と書かれて
いるので実際の地表激突時の速度はさらに低いものと推察される。
(その減った分のエネルギーは衝撃波として大気中に分散された。)
赤い狐の船団は突入時刻を厳密にして,ほぼ真上から南米を直撃するので,
大気圏による減速は考慮する必要が無い。威力はもっとあるはずだ!!


”赤い狐”第7話(アキロニア戦記編)

「どうかな,フェードラー大尉,連邦軍の動きは?予想通りなら良いんだが。」
司令部の一角に用意させた専用の作戦室に入ってくるなり,男は訊ねた。
「あ,大佐,お帰りなさい。予測の範囲内,誤差は2%未満です。それより
将軍達の反応はどうでした?」
「思った以上に感動してくれたよ。」
「確かに位は将官ですが,ここでは突撃機動軍の,しかも,あの大佐の天下
ですからね。宇宙攻撃軍主導で大作戦を敢行するのは久しぶり。かなり鬱屈
していたんでしょう。」
心理作戦担当だけにフェードラー大尉の言葉は辛辣である。
「そこに,付け入る隙があるというわけさ。捕獲輸送船10隻と中身の大量
の砕石は確かに安価だが,それを加速させるための推進剤と補給船,さらに
護衛の艦隊,こっちの方がよっぽどコストがかかってるというのにね。」
「この作戦が安上がりに決行できそうだと,安易に同意した財務担当は今頃
は青い顔をしているでしょうね。」
「下準備に,ランク政権に対して持ってたカードをかなり使ったんだ。作戦
発動のあとの金の始末までは面倒みきれんよ。ところで,連邦将官どもへの
切り崩しの作業はどうなってる。」
「かなり,はかどってます。ここの司令官は性格はどうしようも無いですが
凄腕ですよ。ただ,部下に恵まれてないので・・」
「せっかく集めた情報も片っ端から身内に盗まれているというわけだな。」
「大佐,人聞きが悪いですよ。うまく活用させて頂いているんです。」
大尉はそう言って笑った後,言葉をつなぐ。
「連邦の高官どもときたら,利権がらみの腐敗にどっぷりはまってましてね,
清廉な軍人を探す方が難しいくらいですよ。この利権にからんだ派閥関係を
最大限に利用し,お互いに疑心暗鬼にさせるのは比較的に容易といえます。
後は誰かが最初に裏切りさえすれば・・・」
そう言って卓上のキーを操作する。すると,壁の戦力配置図が変化し,連邦
軍を顕わす赤いマークのいくつかが灰色もしくは友軍を意味する緑のマーク
に変わり,戦力分布が変わる。
「三連星がもう一回,将軍を捕虜に出来そうだな。」
「そう言えば,彼らもこの作戦に参加しているそうですね。心強い。しかし
この想定図は私の打った手が全てうまくいったら,という話ですので,その
点だけはお忘れなく。」
「判っているつもりだ。なに,ここで勝利を得ようというわけじゃないよ。
我々の手で,あの大佐の株を上げてやる必要はないしな。極端な話,5日間
だけ,ここが持ちこたえてくれさえすれば,いいんだ。」
「その点なら問題ありません。あの将軍こそ意気盛んですが,部隊レベルで
の志気はあまり高くはありません。特に戦車部隊は最悪です。」
「数だけ集められてもなぁ。私なら,GMの配備がある程度進むまで,反攻
作戦はしないよ。」
「同感です。ただ,彼も一人で戦争をしてるわけではないのですから。」
「そうだな,この作戦が終わったら,彼の頭上を通り越して終戦工作になる。
その時には,また頼むぞ。」
「任せて下さい。その際には,ここの司令官にも気兼ねせずに仕事をさせて
いただきましょう。」
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「赤い狐も色々と謀略を張り巡らしてるみたいだけど,結果がわかっている
だけに,ちょっとつらいわね。」
「そうだね,彼の予想に無かった不確定要素の発生が重なってしまうんだ。
一年戦争において,彼が犯した二つ目に大きなミスだね。」
「へぇー,一番大きなミスって何?戦艦を墜落させちゃったという話の事か
しら?」
「違うよ。あれは本当に単純な事故なんだ。(ということにしておこう。)
彼の一番のミスは別にあるんだけど,今の所は秘密だ。」
「ところで,フェードラー大尉も例の突降隊の生き残りというわけね。」
「ああ,司令部要員のわずかな生き残りだよ。かれは本国で別の謀略に手を
取られてて難を免れたんだ。」
「もう,新キャラは出ないわよね?」
「すまない。パイロットがもう一人居るんだ。」


”赤い狐”第8話(アキロニア戦記編)

U−99の格納庫で二人のパイロットが搬入された新型機を見上げていた。
機体はそれぞれ,M−07SとM−03である。そして,パイロットの方は
新人のクルツ伍長と,もう一人はU−99の中隊長ハルトマン中尉であった。
「中尉殿は今まであの機体に?」
クルツ伍長の視線の先には今までU−99に艦載されていた06J湿地戦用
(DD仕様)があった。
「ああ,アレはアレで面白かったが,やっぱり今度の機体の方がいいな。」
06Jは搬出され,おそらくDDキットを取り外され地上戦に投入されるの
であろう。作業員が脚部の外装式水流ジェット推進器(整備兵達は船外機と
呼んでいる)を取り外している。
「伍長はM−03のシミュレーションは済んでるな?」
「はい,2期前まではM−04の教習機があったのですが,私達の時期には
全てシミュレーションでした。M−03,M−04,M−07のどれででも
学校では誰にも遅れは取りませんでした。06Fの方はそこそこでしたけど,
たぶんそれでここに配属されたのだと思います。」
「親父の話だと,成績表に赤い狐のお墨付きがあったらしい。何がなんでも
引っ張って来いって,色々工作してたしな。」
「そう言っていただくと,やる気が出てきます。」
「よし,では機体の整備が完了次第,出撃だ。伍長の腕前を見せてもらおう。」
「はいっ,中尉殿。頑張ります。」
「魚雷はいらんから,換わりにロケット弾を積んでおけ。出発は3時間後だ。」
「ということは,地上戦が主になるわけですね。」
「そうだ,ドナウを遡航する。連邦の大型陸戦艇を仕留めてやろう。」
「それは楽しみです。けれど,2機では弾薬が足らなくなるのでは?」
「問題は無い。河の下流付近には装備の入ったゲペックカステンをいくつか
デポしてある。DD仕様の時に設置したものだが,使えるはずだ。」

機体整備と兵器の換装は2時間で終了したため,二人は予定時刻よりも早く
U−99を出発した。
連邦軍の大攻勢は翌日に迫っていた。
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「ということは,この日が11月6日ね。」
「そのとおり。キャラクターの紹介も,オリジナル兵器の登場も終わったの
でこれからが本番になるのかな。」
「8話かけて,やっとキャスティング終了って,先が思いやられるわ。」
「地上戦は特に書かなくてもいいんだよ。史実通りに進むからね。それより
ツヴィーベルや赤い狐が変に動くと史実に影響を与える事態になりかねない。
まあ,ハルトマン中尉達くらいなら問題は無いんだけどね。」
「じゃあ,アンリ君達の活躍は無いの?」
「もちろん出番はあるけど,連邦の白い奴とは戦わないよ。念のため。」
「ところで,06JのDD仕様って何なの?安永航一郎のマンガにDDザク
というのが出てるけど,まさかアレなわけは無いでしょ。」
「当たり前だよ(怒)。DDはデュプレックス・ドライブの略で昔の戦車の
水上航行用キット装備のことさ。つまり腰の部分に小さめの浮き袋ををつけ
てガス圧で膨らませ,脚部に船外機をつけて海上を行動出来るようにした機
体だよ。耐圧能力はまるで無いから,母艦が浮上してから発進して海岸に接
近することになる。要は強襲上陸戦闘をするための機体だよ。オリジナル設
定だけど,いかにもありそうだろ。」
「はいはい,まったくマニアなんだから。」


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